アンガーマネジメントを知っていますか?「怒りの感情」と上手に向き合う方法

 

「職場で部下をきつく叱責してしまい、後から自己嫌悪になる」

「上司の理不尽な指示にイライラが止まらず、仕事に集中できない」

職場においての「怒り」という感情は、心理的安全性を著しく低下させ、生産性を奪い、時にはハラスメントという深刻なコンプライアンス違反を引き起こす存在ともなり得ます。

 

怒りというのは、性格の悪さや人間性の未熟さではありません。

人間の脳に備わった防衛本能であり、一種の「脳内物質の暴走」ともいえます。

 

今回は、怒りのメカニズムを解説しながら、感情に振り回されないための具体的な方法を紹介します。

 


 

目次

❚アンガーマネジメントを知っていますか?

❚「怒り」の正体とは?

❚怒りのコントロールで意識すること

❚感情をコントロールするために大切な生活習慣

❚慢性的なイライラは注意

❚まとめ

 


アンガーマネジメントを知っていますか?


 

皆さんは「アンガーマネジメント」という言葉をご存知でしょうか。

アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで生まれた怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングのことです。

 

大前提として、私たちが人間である以上、理不尽な場面で怒りを全く感じずに過ごすということは不可能かと思います。

怒り自体は身を守るための自然な防衛本能であり、無理に押し殺す必要もありません。

 

 


「怒り」の正体とは?


 

人の怒りという感情を司っているのは、脳の奥深くにある「扁桃体(へんとうたい)」というアーモンド型の器官です。

扁桃体は、感情の快・不快や恐怖、危機を瞬時に判断するセンサーの役割を果たしています。

 

職場において、「理不尽なことを言われた」「自分の価値観や尊厳を否定された」と感じた瞬間、この扁桃体が危険を察知し、猛烈な勢いで警報を鳴らします。

 

すると、脳内ではアドレナリンやノルアドレナリンといった興奮系の神経伝達物質が急激に分泌され、交感神経が優位になり、心拍数や血圧が上昇します。

このような流れが、怒りの状態の医学的な正体です。

 

この状態は「扁桃体ハイジャック」と呼ばれています。

感情センサーが暴走してしまうことで、論理的に考える脳の働きが一時的にフリーズしてしまい、理性による歯止めが効かず、怒りに完全に支配された言動をとってしまいます。 

 

 


怒りのコントロールで意識すること


 

怒りのコントロールで大切になってくるのが、脳の司令塔とも呼ばれる「前頭前野(ぜんとうぜんや)」です。

前頭前野は、感情のままに行動するのを抑え、物事を論理的に考える働きをしています。 

 

ですが、怒りの感情を感じてから、前頭前野が働き始めるまでに、数秒の時間がかかってしまいます。

ここで、アンガーマネジメントでよく言われる「怒りを感じたら6秒数える」という方法が大切になってきます。

 

怒りを感じた直後は、まだ前頭前野が十分に働いていません。

この時点で言葉をぶつけてしまうと、感情的な言動となってしまいます。

 

怒りを上手にコントロールするために、怒りを感じたら、

 

・心の中でゆっくり6つ数える

・深呼吸をする

・水を一口飲む

・怒りに任せて行動した場合に起こり得るリスクを考える

・怒りを抑えて冷静に対応することで、自分にどのようなメリットがあるかを考える

 

といった行動を取り入れて、怒りの感情が抑えられるのを待つことが効果的です。

 

 


感情をコントロールするために大切な生活習慣


 

感情を上手にコントロールするためには、怒りが湧いた瞬間にできる対策だけでなく、日頃から怒りにくい脳を作っておく予防医学的な対策も不可欠です。

そのためには、感情を安定させる脳内物質である「セロトニン」を日常的に増やす生活習慣が重要になります。 

 

 


慢性的なイライラは注意


 

「どうしても怒りが抑えられない」「常にイライラしている」という方もいらっしゃるかもしれません。

そのような場合は、脳の疲労が強く疑われます。

 

私たちが怒りを抑えるときには「セロトニン」という脳内物質が重要な働きをしています。

セロトニンは、感情を安定させて平常心を保ってくれる役割があります。

 

しかし、過重労働や慢性的な睡眠不足、強いストレスが続くと、脳内のセロトニンは減ってしまい、感情のコントロールが効かなくなったり、ちょっとしたことでもイライラしやすくなってしまいます。

 

 

最近怒りっぽいという方が周りにいる場合は、性格が変わってしまったというわけではなく、過労やストレスによるメンタル不調のサインとも考えられます。

 

個人の問題だと片付けてしまわず、社内環境の見直しとして、業務量を見直したり、休養を促したりすることが、組織を守る上で非常に重要となります。

 

 


まとめ


 

「怒り」という感情自体を完全に消し去ることはできませんし、時には怒りが原動力になることもあります。

ですが、脳のメカニズムを理解することで、怒りに振り回されないことは十分に可能です。

 

従業員一人ひとりのセルフケアとしてはもちろん、組織全体として「疲労が怒りを生む」こともあることの共通認識を持ち、心理的安全性の高い、健全な職場環境づくりにお役立てていただければ幸いです。

 

 

キーワード:アンガーマネジメント|怒り|感情|職場|家庭