〜働く世代に知ってほしい〜ハラスメントでココロが壊れる前に

働き盛りの世代が抱える悩みの中でも、近年特に増えているのが「職場のハラスメント」による心の不調です。
周囲から気づかれにくく、誰にも相談できず、一人で抱えてしまう方も少なくありません。
真面目すぎる方ほど限界まで頑張り続け、気づいたときには手遅れになっているケースもたくさんあります。
今回は、ハラスメントが心に与える影響、対処法、自分らしさを取り戻すための方法などをご紹介します。
目次
❚まとめ
ハラスメントは「心の怪我」
パワハラ、セクハラ、モラハラ、そして近年増加しているカスハラ。
これらの「ハラスメント」は、外傷のように目に見える痕は残りませんが、心理的なダメージは非常に大きく、脳と心に深刻な影響を及ぼすことがあります。
精神科ではこの影響を「心理的外傷」や「ストレス反応」と呼びます。
外から見えにくいだけに、気づいた時には症状が進み、心身に症状が出てから来院される方も少なくありません。
「そんなことで傷つくなんて弱い」と感じる方もいらっしゃいますが、これは大きな誤解です。
同じ言葉を受け取ったとしても、平気な人もいれば、傷つく人もいます。
これは脳の反応性、過去の経験、ストレスの蓄積、性格傾向など複合的な要因によって異なります。
筋力に個人差があるように、ストレス反応にも個性があります。
心の怪我は放置すると悪化します。おかしいと気づいたときにすぐ対処することが、健康に働き続ける上で大切になります。
ハラスメントによって起こる心身の変化
ハラスメントによるダメージは心だけでなく、体にも影響を及ぼします。
精神科では次のような症状を初期サインとしてよく見かけます。

これらの症状は、ストレスから脳が異常事態を察知し、防御反応を起こしている状態です。
上記の症状を我慢し続けてしまうと、うつ病・不安障害・適応障害などの大きな病気につながる可能性があります。
自分自身を守るためにできること
ハラスメントから自分自身を守るためにできることは、まずは事情を知る第三者に詳細に相談することです。
ハラスメントによる心身の不調は、ひとりで抱え込むほど深刻化しやすくなります。
異常を感じる前に、身近な上司や同僚などに相談しましょう。
相談できる上司や同僚などがいない場合は、人事部や社内の相談窓口などに相談しましょう。
社内での相談にリスクを感じる場合は、外部の相談窓口の利用もひとつです。
その際には、以下のようなことを中心に相談すると良いでしょう。
・いつ(時間や時期)
・どこで(場所)
・誰が(主となる人物や集団など)
・何を(行為の内容や対象)
・なぜ(目的や理由)
・どのように(手段や方法)
俗に言う「5w1h」というものです。
後々の事実確認などでの証拠にもなるため、記録を残すことも有効かもしれません。
精神的に追い詰められている方ほど、
「相談するほどのことではない」
「自分が悪い気がする」
「迷惑をかけてしまう」
というような発言をしがちです。
これらの発言は、ストレスによる思考の歪みとも考えられます。
周囲に思い当たる人がいらっしゃる場合は、自分からそっと声をかけることが支えとなります。
まとめ
ハラスメントは、とてもデリケートで複雑な問題です。
同じ出来事でも、それぞれで言葉の受け取り方やストレスの感じ方が異なるため、周囲には気づかれにくい苦しみが生まれることもあります。
また、ハラスメントは立場や環境にかかわらず、どこで誰が経験するか分からない身近な問題でもあります。
だからこそ、同じ場所で働き、暮らす一人ひとりが、日々の自分の言動を振り返りながら、相手の感じ方に思いを寄せる姿勢を持つことが大切になってきます。
キーワード:ハラスメント|働き世代
参考資料・参考文献
1)厚生労働省:あかるい職場応援団「ハラスメントにあったらどうする?」






