知っておきたい!不妊と不妊治療の基礎知識

妊娠・出産に関する考え方は人それぞれで、妊娠を望む時期や背景も異なります。
「いつか子どもを授かりたい」「妊娠を考えている」「先のことだけど知っておきたい」など、将来に向けた思いはどれも大切なものです。
一方で、情報が多く、治療内容や制度が分かりづらいと感じる人も少なくありません。
そして、実際に不妊治療を行っている方も多く、約10人1人のお子さんが、不妊治療を経て誕生していると言われています。
今回は、不妊に関する基礎知識を整理し、治療の流れや検査についてご紹介していきます。
目次
❚まとめ
不妊とは?
不妊とは、妊娠を望む健康な男女が、避妊をしないで性交していたにもかかわらず、1年間妊娠しない状態のことを指します。
不妊は決して珍しいことではなく、約4.4組に1組の夫婦が不妊治療を経験したことがあるという調査結果もあります。
妊娠は、排卵 → 受精 → 着床 → 妊娠継続という複数の過程が成立することで成り立ちます。
その過程で何かしらのトラブルが生じると、妊娠は成立しません。
不妊の原因
不妊の原因は、女性に原因があるのではないかと思われがちですが、必ずしも女性にあるとは限らず、実は、原因の約半数は男性にも関連するものだといわれています。

妊活をしていてもなかなか妊娠しない、不妊かもしれないと感じている場合は、お二人で検査を受けることがとても大切です。
不妊検査について
不妊治療は、「原因の探索」と「身体の状態の確認」のために、まずは不妊検査から始まります。
女性は、血液検査や超音波検査(エコー)、場合によっては子宮卵管造営検査などで詳しく調べていきます。
そのほかに、日々の基礎体温測定や生理周期の記録なども重要なデータとなるので、受診の際に医師に見てもらえるように持参するようにしてください。
男性は、精液検査、超音波検査、血液検査などが主な検査となります。
そして、その検査結果をもとに、適した治療方針や進め方を医師と一緒に検討していきます。
治療のステップと特徴
不妊治療は、身体的負担・費用・治療期間などを踏まえ、段階的に進めることが一般的です。

1|タイミング法(一般不妊治療)
排卵時期を推測し、その前後に性交渉の機会を持つ方法です。
基礎体温をつけたり、超音波検査などで排卵日を予測しタイミングをとってもらいます。
2|人工受精(一般不妊治療)
精液から運動性の良い精子を取り出し、排卵時期に合わせて直接子宮内に精子を注入する方法です。
精液中の精子が少ない場合や性機能障害によって性交ができない場合に行われます。
3|体外受精(IVF)
体内から採り出した卵子と精子を体の外で受精させ、受精卵を子宮に戻す方法です。
4|顕微授精(ICSI)
体外で受精させた受精卵を、子宮内に戻す高度生殖医療です。
治療の選択は一律ではなく、年齢、基礎疾患、検査結果、希望時期などをもとに検討されます。
生殖補助医療に進んでくると、卵子を採取するための処置や、内服や注射によるホルモン治療で卵子の育ちをサポートしたり、受精卵の発育のためのホルモン療法を行うこともあります。
まとめ
今回は、不妊治療の基本的な流れをご紹介しました。
不妊治療は、決して珍しいことではなくなってきています。
そして、月に1度の排卵のタイミングで妊娠するということは改めて奇跡的なことだなと感じます。
治療をするかどうか悩まれる方にもたくさん出会ってきましたが、その選択はご夫婦にとって前向きな選択です。
ご自身には無縁の話と思っている方も少なくないと思います。
ですが、身近な方や将来ご自身も経験する可能性がある問題であることを、少しでも覚えておいていただければと思います。
キーワード:不妊|不妊治療
参考資料・参考文献
・みんなで知ろう、不妊症・不育症のこと 不妊のことDICTIONARY(こどもまんなかこども家庭庁)
https://funin-fuiku.cfa.go.jp/
・公益社団法人日本産婦人科学会
https://www.jsog.or.jp/citizen/5718/
・国立社会保障・人口問題研究所 「第16回出生動向基本調査」令和3年6月実施
・不妊治療Q&A 片桐由起子
・ペリネイタルケア第44巻2号 不妊治療とプレコンセプションケア


