子どもと過ごす冬、室内環境を整えて安心で快適に

 

冬が近づくと、寒さや乾燥、感染症など、子どもたちを取り巻く環境に気を配る場面が増えてきます。

特に、小さなお子さんは体温調節が未熟で、ちょっとした温度や湿度の変化が体調に影響することもあります。

 

保育園では、日々の生活の中で快適で安全な室内環境を整えることがとても大切な仕事のひとつとなっています。

今回は、保育現場での冬の環境づくりを参考にしながら、ご家庭でも実践できる工夫をご紹介します。

 


 

目次

子育て家庭での寒さ対策の必要性
快適過ごす温度と湿度
暖房器具などで起こりやすい事故や怪我に注意
安心して過ごせる快適な室内環境のポイント
感染症予防にやっておきたい対策
まとめ

 


子育て家庭での寒さ対策の必要性


 

冬の寒さは大人以上にお子さんの体に大きな影響を与えます。

特に乳幼児は体温調節機能が未熟で、室温の変化や冷えに敏感です。

体が冷えてしまうことで免疫力が低下し、風邪や感染症にかかりやすくなるほか、睡眠の質の低下にもつながってしまいます。

 

家庭での寒さ対策は、快適に過ごすためだけでなく、お子さんの健康を守るためのも大切になります。

衣替えと一緒に、徐々に室内環境の冬支度も始められると良いですね。

 

 


快適に過ごす温度と湿度


 

朝晩は特に冷え込むようになり、暖房器具を使用する機会が増えてきますね。

ここで意識したいのが、室温と湿度です。

 

室内環境の目安

・室温:20〜23℃
・湿度:60%

 

厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、保育園では冬場の室温は20~23℃、湿度は60%に保つようにと書かれています。

また、WHO(世界保健機関)も「住宅と健康に関するガイドライン」にて、高齢者、子ども、慢性疾患患者等の住居は 最低室温が18℃より高い必要があると強く勧告をしています。

お子さんのいる環境では、室内の暖め過ぎ、加湿のし過ぎに注意し、快適な温度湿度を保つように調節することが大切です。

 

冬場は乾燥し、湿度が下がりやすくなります。

乾燥した鼻や喉の粘膜からウイルスが入りやすくなってしまいますので、感染症予防としても、室内の状態に合わせて加湿器や空気清浄機を使用することもお勧めです。

 

保育現場では、1時間に1回を目安として換気を行います

寒い時期はなかなか難しいかもしれませんが、朝起きてからの数分、掃除をしている間だけ、などと時間を決めて行えると良いかもしれませんね。

 

 


暖房器具などで起こりやすい事故や怪我に注意


 

冬場は、暖房器具などの使用によるお子さんの事故や怪我が多くなります。

暖房器具を安全安心に使用するためにも、以下のような点に注意、配慮されると安心です。

 

ストーブ・ヒーター・暖房
・ストーブガード(柵)を設置し、直接触れないよう対策する
・子どもが活動する近くには置かない
・風が直接当たらないよう、風向きを調節して使用する

 

床暖房・ホットカーペット
・暖め過ぎないよう適宜温度調節を行う
・座布団や布団を活用し、長時間座らせたり寝かせたりしない
・寝返りができない赤ちゃんには使用しない

加湿器・空気清浄機など
・子どもの手の届く範囲には置かない
・スチーム式加湿器を使用する場合、蒸気での火傷に注意する
・転倒防止のため、周辺の床が濡れていないかこまめに確認する
・こまめにフィルター掃除を行う(カビ・雑菌の放出を防止)

 

 


安心して過ごせる快適な室内環境のポイント


 

寒さや乾燥への対策のほか、お子さんと快適・安心に過ごすポイントを紹介します。

 

温湿度計で見える管理
体感だけで判断せず、温湿度計を設置して見える化をすると◎

 

床にカーペットやジョイントマットを敷いて冷えを対策
ハイハイやお座り遊びが多いお子さんは床から冷気を直接感じやすくなります。
寒さ対策や転倒での怪我対策としても◎

 

防寒・断熱カーテンの使用
窓からの冷気を防ぐだけで、部屋全体の温度が安定します。
隙間テープや断熱シートの使用もおすすめです。

 

手すりやドアノブ、おもちゃを拭く
おもちゃを口に入れたり、探索で手すりやドアノブを触ることも多いと思います。
感染症予防としても、こまめに消毒や拭き掃除をして清潔に保てると安心ですね。

 

 


感染症予防にやっておきたい対策


 

冬はインフルエンザや感染性胃腸炎など、さまざまな感染症が流行します。

保育園は集団での生活が基本となるため、食事や睡眠、遊びの場などでどうしても接触が多くなりますし、同じおもちゃや遊具を共有する機会もたくさんあります。

 

そのため、保育士は身の回りの清潔を大切に保育環境を整えています。

感染症が流行る時期は特に、ドアノブやおもちゃなど、不特定多数の人が触るものに関して拭き掃除や消毒を行います。

 

・ドアノブ、手すり
・照明のスイッチ
・選択できないおもちゃ(プラスチック、積み木、絵本など) など

これらは、拭き掃除や消毒で清潔に。

 

・布おもちゃ
・ベビーマット
・おんぶ、抱っこ紐類
・掛け布団  など

拭くことができないものに関しては、定期的に洗濯をして清潔に。

 

 

保育園でのおもちゃや机・椅子などの消毒は、”次亜塩素酸水”を使用します。

ウイルスや菌をしっかりとやっつけてくれますが、小さなお子さんのいるご家庭でも安心して使用できます。

安心といっても、お子さんに直接かからないようにし、濃度が違うものもありますので、使い分けに注意して安全に使用されてくださいね。

 

 


まとめ


 

季節の変化に合わせて、ご自宅も家族全員が安心安全快適に過ごせる空間に整えていけると良いですね。

冬支度を始めて、寒い冬も元気にお過ごしください!

 

 

キーワード:室内環境|冬|寒さ対策|温湿度|感染症対策


 

参考文献

1)WHO 住宅と健康ガイドライン

2)こども家庭庁:保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版)

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/c60bb9fc/20230720_policies_hoiku_25.pdf