すべての人に知ってほしい、女性の生理について

 

「生理が重くてつらい」

「周りに相談しにくい」

「私のこの状態は普通?受診した方がいい?」そんな声を多く耳にします。

毎月やってくる生理ですが、女性一人ひとり、症状や悩みも変わってきます。

そのため、女性同士ですら理解し合えないこともあり、学校やお仕事などでも毎月大変な思いをしながら過ごす方も少なくないかと思います。


今回は、生理の基本からよくある症状、生理期間の過ごし方を紹介します。

ご自身や周囲の女性への理解を深めて、生活や相手とのコミュニケーションのヒントにしていただけると嬉しいです。

 


 

目次

基礎:生理とは?

生理周期のしくみ

生理中によくある症状とは?

生理中をラクに過ごせるように

生理への理解を広げるために

まとめ

 


生理とは?


 

生理は、医学的な正式名称を「月経」と言います。

女性は1か月に1度排卵があり、受精に向けて子宮の内側の「子宮内膜(受精卵が着床する卵を育てるベッドのようなもの)」が厚くなり、妊娠に備えて準備がなされます。

ですが、受精に至らなかった場合、この子宮内膜は剥がれて血液と一緒に体外に排出されていきます。

これが生理です。

 

思春期に始まり、閉経までの長い間続く大切な身体のサイクルとなります。

生理周期は、正常で24日〜38日程度、出血は4~8日間程度続くものとされていますが、それぞれ個人差があります。

 

 


生理周期のしくみ


 

生理は、約1か月ごとにサイクルがあり、それを繰り返しています。

体内にある卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という女性ホルモンが常に変化をし、妊娠のために身体の状態を整えたり、症状として身体の変化が出てきます。

 

 

① 卵胞期(生理後〜排卵前)

卵胞ホルモンの分泌が増えることによって、肌や髪につやが出ます。

副交感神経の働きが活発になるため、気分も明るくポジティブで活動的になる時期です。

 

② 排卵期(周期の中間ごろ)

卵胞が十分に育つことでホルモンバランスが大きく変わり排卵が起こります。

メンタルや身体の調子も不安定になりやすく、排卵に伴い下腹部の痛み(排卵痛)を感じる方もいます。

 

③ 黄体期(排卵後)

卵胞ホルモン、黄体ホルモンの働きにより、子宮内膜が厚くなり、妊娠に適した子宮の環境が作られます。

黄体ホルモンが急増することにより、胸の張りや頭痛、むくみ、便秘、強い眠気などの身体的な不調に加え、イライラしやすくなったり、不安感や不眠に悩まされることもあります。

心身のバランスが崩れやすく、月経前症候群(PMS)が起こるのはこの時期で、多くの方が体調変化で悩みます。

 

月経期

妊娠が成立しなかった場合、子宮内膜が剥がれ、血液とともに体外へ排出される生理の時期です。

2つの女性ホルモンが急激に減ることにより、生理痛や頭痛、貧血など、この期間も様々な身体の不調が起こります。

気分の落ち込みや不快感など、精神的な変化を感じる方も多くいます。

 

 


生理中によくある症状とは?


 

生理にともなう症状は女性によってかなり差はありますが、以下のような症状がよくあらわれます。

 

■ 下腹部の痛み(生理痛)

■ 腰の重だるさ

■ 頭痛・吐き気・めまい

■ 胸の張りや痛み

■ 気分の落ち込み・イライラ

■ 食欲の変化

■ 便秘・下痢

 

 


生理中をラクに過ごす工夫


 

ここまでご紹介したように、生理のサイクルで女性の身体には常に変化が起きています。

様々な体の不調や、心の変化として症状が出る方も少なくありません。それを毎月繰り返しているというのは、本当にすごいことです。

そのような中で、少しでも楽に過ごすための基本をいくつか紹介させていただきます。

 

  • 体を温める

身体が冷えていると、血行が悪くなり生理痛や浮腫みの悪化につながります。腹巻やレッグウォーマー、湯たんぽ、カイロを使ったり、温かい飲み物を飲むように心がけることも効果があります。

また、生理中には湯舟に入ることを少しためらうこともあるかと思いますが、湯舟につかり全身を温め血行を促進してあげることで、生理痛軽減やリラックス効果にもつながります。

 

  • バランスと栄養を意識した食事

生理中は我慢をしすぎず美味しくてバランスのとれたご飯を食べるように心がけてください。

特に、鉄分とビタミンBは貧血症状をやわらげる作用、マグネシウムは子宮収縮(生理痛)を和らげる効果があるとされていますので、多く含む食材を食べられると良いです。

甘いものやカフェインなどの摂りすぎは、身体の冷えにつながってしまうので注意しましょう。

 

  • 良質な 睡眠

当然のことではありますが、睡眠はとても重要です。

睡眠中は女性ホルモンの分泌が促進されることが分かっています。

生理中だけでなく、普段の睡眠も「質」を意識していただくことが重要です。

良質な睡眠をとるためのコツは、寝る前1時間前からスマホやPCをみない、寝る2~3時間前までに食事を済ませる、入浴は就寝1時間前までに済ませる、午後のカフェイン摂取を控える、ベッドに入る前に軽いストレッチで身体をほぐすなどがあります。意識しないとなかなかできないことも多いので、できそうなものから少しずつ取り入れてみていただければと思います。

 

  • 生理痛を我慢しない

生理痛が毎回ひどいという方は、我慢せず鎮痛剤に頼ることも選択肢の一つです。

生理痛がひどく日常生活に支障が出るほどの場合は、何かしら婦人科系の疾患が原因のこともあるので、早めに医療機関に相談してください。

 

 


生理への理解を広げるために


 

生理にともなう体調の変化や不調は、職場や学校での過ごし方にも影響することがあります。

ですが、多くの女性が「我慢するしかない」「理解されない」と感じていることもあり、相談できず、毎月の辛さをどうにか自分自身で対処して過ごしていることがほとんどのように思います。

生理中でも、働きやすい・過ごしやすい環境をつくるために、企業や組織としての取組もたくさんありますので紹介したいと思います。

 

  • 体調不良時の休みを取りやすくする環境

生理に限らず、体調不良の際にしっかりと休める環境作りが大切です。

有給休暇の柔軟な取得や生理休暇を制度として取り入れるなどの組織も増えてきています。

 

  • トイレ環境や衛生用品の整備

社内のトイレに生理用品を常備するというような支援も増えています。

体調不良時に誰でも利用できる休憩スペースを用意するなど、物理的な環境づくりも大切です。

 

  • 男女問わず学べる研修や情報提供

生理や月経前症候群、不妊治療など、身体についての基礎知識を学べる機会を取り入れることも大切です。

研修や啓発資料の配布などを通して、組織全体の理解を底上げすることで、誰もが過ごしやすい環境づくりにつながります。

 

  • 無理をさせない声かけや業務調整

普段から「大丈夫?」「できることはある?」といったお互いを助け合う配慮や言葉かけが、安心して働ける職場の雰囲気につながります。

 

 


まとめ


 

生理の基本から、周りの方のサポートまでをご紹介させていただきました。

ちょっとした身体やこころの変化を見逃さず無理をせずに付き合っていくことが、ご自身のためにも、そして周囲のためにも必要です。

 

性別や年齢関係なくすべての人が理解を深めていくことが求められている分野であると思いますので、この記事が何かのきっかけになればうれしく思います。

 

 

キーワード:生理|生理周期|生理痛|PMS


参考文献

1)MSDマニュアル:健康生活辞典