子どもがかかりやすい「夏風邪」とは?

 

夏になるとかかりやすい夏風邪。
毎年この時期には、お子さんを中心に患者数が増加します。
咳や発熱といった風邪に似た症状から、口の中の痛み、発疹、目の充血など、一見見分けがつきにくい症状が出ることも多く、受診の判断に迷うこともあるかもしれません。

今回は、子どもが夏にかかりやすい代表的な感染症について、それぞれの特徴について紹介します。

 


 

目次

「夏風邪」とは?

なぜ夏に流行りやすい?

それぞれに感染症について

 ・手足口病

 ・ヘルパンギーナ

 ・咽頭結膜熱(プール熱)

まとめ

 


「夏風邪」とは?


この時期にお子さんがかかりやすい夏風邪には、手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱などがあります。

ウイルス感染によって起こる病気になりますので、他人への感染力が強いことも特徴です。

お子さんの様子がいつもと違うと感じたら、受診して医師から診断を受けることが大切になります。

 

 


なぜ夏に流行りやすい?


 

①高温多湿の環境がウイルス・細菌の繁殖に適している

夏は気温・湿度ともに高く、ウイルスや細菌が繁殖しやすい環境です。

特にプール熱(咽頭結膜熱)や手足口病など、夏に流行するウイルスは湿気を好む傾向があります。

 

②集団生活による接触の増加

夏休み前までは保育園や幼稚園、学校で集団生活を送っているため、接触感染や飛沫感染が広がりやすくなります。

公共プールや保育施設での水遊び、夏休み中のイベントや帰省、旅行などで人と接する機会が増えることも一因です。

 

③脱水や体力の低下で免疫力が下がる

暑さで子どもが不快になりやすく、手洗いやうがいがおろそかになることがあります。

感染症の予防には日々の衛生習慣が重要ですが、夏は少し気が緩みがちです。

 

 


それぞれの感染症について


夏の代表的な感染症について、症状や対策・予防について詳しく見ていきましょう。


◆手足口病

【流行時期】
・5~9月頃
【潜伏期間】
・3~5日
【発症しやすい年齢】
・1~5歳
【主な症状】

・手のひら、足の甲や裏、口の中に2~3mm程度の痛みのある水疱ができる

・発熱(軽度であったり、でないこともある)

・発症後、数週間後に爪が剥がれ落ちることがある

【登園について】

・原則、登園許可証は不要

・発疹があっても、熱がなく、食事が普通に食べられていれば登園できます

 

 

コクサッキーウイルスやエンテロウイルスによる感染症です。
手足口病に特化した治療方法はないため、ご家庭で安静に。自然に治ります。

口の中にできる水疱は痛みをともなうため、食欲が落ちてしまいます。
脱水のリスクが高まりますので、ゼリー飲料やスープなど飲み込みやすいもので水分だけでも摂れるように促しましょう。

まれに、髄膜炎や心筋炎などの合併症を起こすこともあります。
高熱や嘔吐、元気がないなどの症状があればすぐに小児科へ受診しましょう。

 

 

◆ヘルパンギーナ

【流行時期】
・5~8月頃
【潜伏期間】
・2~4日
【発症しやすい年齢】
・1~5歳
【主な症状】
・急な高熱(38~39度台)
・のどの奥に1~2mm程度の水疱ができる
・のどの痛み
・食欲不振、不機嫌
【登園について】

・原則、登園許可証は不要

・熱がなく、のどの痛みや水疱が改善し、食事が普通に食べられていれば登園できます

 

 

コクサッキーウイルスやエコーウイルスなど、多くのウイルスによる感染症です。
急な発熱とのどの痛みが特徴です。熱は2~4日程度で下がり、自然に治ります。

つらいのはのどの痛みです。
のどにできる水疱はつぶれやすく、しみるので、食事や授乳を嫌がることがあります。
ゼリー、冷たい飲み物、スープなど喉ごしのよいもので水分補給を心がけましょう。

手足口病と同じように、髄膜炎や心筋炎などの合併症を起こすこともあります。
高熱や嘔吐、元気がないなどの症状があればすぐに小児科へ受診しましょう。
発熱時に熱性けいれんを起こす場合もあります。

 

 

◆咽頭結膜熱(プール熱)

【流行時期】
・6~8月頃(年中見られる)
【潜伏期間】
・5~7日
【発症しやすい年齢】
・5歳以下の小児
【主な症状】
・急な高熱(39~40度台)
・のどの痛み
・白目の充血、目やに
【登園について】
医師が意見書を記入することが考えられる感染症に分類されているため、かかりつけ医に意見書を記入してもらう必要あり
・発熱、充血などの主な症状がなくなってから2日経過している

 

 

アデノウイルスによる感染症で、のどの痛みと結膜炎が同時に発症することが特徴です。
ウイルスのタイプによっては大人がかかってしまうこともあります。
プールで感染することから「プール熱」と呼ばれていますが、日常生活での接触感染・飛沫感染も多く見られます。

 

発熱やのどの痛み、目の症状がそろうことが多く、強い倦怠感が出る場合もあります。

感染力がとても強いため、お子さんの様子が気になる場合はすぐに小児科へ受診しましょう。完全に回復するまでは自宅で安静に過ごしましょう。

家庭内も感染しやすいので、タオルの共用を避けて、手洗い・うがい・消毒を徹底しましょう。

 

兄弟で同じ保育園に通っている場合は、咽頭結膜熱に感染していないお子さんは登園しても問題ありません。
その場合、兄弟が咽頭結膜熱に感染していることを保育園側に伝えていただくと安心です。

 

 


まとめ


お子さんが体調を崩すと、食事や睡眠、水分補給など、ご家庭での対応にも不安が募るかと思います。

無理のない範囲でできることを続けながら、心配なときは早めに医療機関を受診してくださいね。

保護者の方もご自身の体調も大切に、暑い夏を元気に乗り切りましょう!

 

 

キーワード:夏風邪|感染症|手足口病|ヘルパンギーナ|咽頭結膜熱


参考文献

1)保育園における感染症対策ガイドライン:こども家庭庁
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/051010guideline

2)手足口病:国立健康危機管理研究機構
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/hfmd/010/hfmd.html

3)ヘルパンギーナとは:国立健康危機管理研究機構
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/herpangina/010/herpangina.html

4)咽頭結膜熱:国立健康危機管理研究機構
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/adeno/index.html

5)はじめてのママ&パパの育児:主婦の友社