眠れない夜、続いていませんか?心と体の不調を整える「睡眠の質」
「毎晩、布団に入っても1時間は眠れない」
「夜中に何度も目が覚めてしまう」
「朝起きたときにまったくスッキリしない」
こうした声は、とても多く聞かれます。
そして、眠れないことをきっかけに、身体のだるさや気分の落ち込みなど、他の不調につながってしまうことも少なくありません。
睡眠は、単なる「休息」ではなく、心と身体を修復するための大切な「メンテナンスタイム」です。
質の高い睡眠は日常生活の土台となります。
今回は、精神科医の視点から「眠れない」悩みに対してできる対策をご紹介します。
目次
❚まとめ
不眠の原因。実は「暑さ」と「まぶしさ」にあった?
不眠の原因はストレスや生活習慣だけではありません。
不眠で受診される患者さんの多くが、「寝苦しさ(暑さ・湿度)」や「まぶしさ(朝日)」を原因としています。
室温や光などの環境要因が、睡眠に大きく影響しているのです。
寝苦しさ(暑さ・湿気)の対策
- エアコンは朝までタイマーなしで運転すると◎
冷房ではなく、除湿モードにすることで、不快指数が下がり、眠りやすくなります。
まぶしさの対策
- カーテンでしっかり光を遮る
夏は早くに日が昇り、明るくなる時間が早いですよね。早朝覚醒や中途覚醒の原因は、光によるまぶしさにあります。
カーテンなどで光をしっかり遮り、朝までぐっすり眠れる環境を整えましょう。
まぶしさに悩まれる方には、遮光1級カーテンをお勧めしています。
水分補給を欠かさずに
- 睡眠前もしっかりと水分摂取
夜中にトイレまで行くのが億劫で水分補給を控える方がいらっしゃいます。
寝る前の水分補給は、熱中症予防や寝起きのだるさ軽減につながるため、十分な水分補給で睡眠の質を上げましょう。
寝ようと焦るのは逆効果?!横になるだけで〇割の回復力
次の日も仕事がある、早朝に家を出ないといけない。
「眠れない…」「どうしよう…」と焦ってしまうとかえって眠れなくなる。
そんな経験はありませんか?
患者さんに現場でよく伝えているのが、
「眠れなくても横になって目を閉じるだけで、60~70%は回復する」 ということ。
目を閉じて静かに横になっているだけでも、リラックス状態をつかさどるアルファ波(α波)が出ていて、熟睡したときの7割程度の疲労回復が見込めます。
「眠らなきゃ」と無理に思い詰めてしまうのではなく、「寝れなくても横になるだけでいい」と考えることで、むしろ自然と眠りやすくなる場合もあります。
専門的な治療について
不眠で受診された患者さんには、まず現在の睡眠の状況や生活リズム、困っている点について詳しくヒアリングを行います。
「寝つきが悪い」「途中で何度も目が覚める」「朝早くに目が覚めてしまう」など、症状のパターンや背景はさまざまです。
その上で、症状の程度や生活への影響を踏まえ、生活習慣の調整や環境改善、必要に応じた心理療法や薬物療法を組み合わせながら対応していきます。
薬との付き合い方
「薬にはできるだけ頼りたくない」と感じる方も多いと思います。
確かに睡眠薬には翌朝の眠気などの副作用があるため、慎重に使う必要があります。
ですが、すでに日常生活に支障が出ている場合や、不安・抑うつの症状が強く眠れない場合には、一時的に薬を使うことで睡眠のリズムを整え、回復につなげることができます。
また、ひと口に睡眠薬と言っても、種類や作用はさまざまです。
- 入眠導入を助ける薬:寝つきをよくするタイプ
- 熟睡感を高める薬:途中で目が覚めてしまう、眠った気がしないときに使われるタイプ
というようなものがあります。
薬は症状に応じて選ぶことが大切です。
「寝つきが悪いのか」「途中で目が覚めるのか」「眠ったはずなのに疲れが取れないのか」など、ご自身の睡眠の悩みをしっかり把握し、医師と相談しながら適切な薬を選ぶことが重要です。
薬を使って一時的に眠りのリズムを整えながら、生活習慣の改善やストレスケア、認知行動療法などの根本的な対策と併用し、最終的には薬に頼らず眠れることを目指しましょう。
まとめ
「眠れない」は、心や身体からのSOSだったりすることもあります。
ただ不調ではなく、メンタル不調の入り口であることも少なくありません。
自分の睡眠環境を見直すこと、生活習慣を整えること、必要であれば専門家に相談すること。
できることから始めていただき、ぐっすりと眠れる生活を取り戻していきましょう。
キーワード:睡眠|不眠|寝不足|睡眠の質