職場での対応は?休職期間から復職へ

 

メンタル不調による休職から復職した従業員が安定して働き続けるためには、本人の努力だけでなく、職場からの支援も欠かせません。

復職直後は、以前と同じように仕事ができないことへの不安や、疲れやすさ、業務負荷への戸惑いを本人は抱えやすいです。

 

今回は、復職後に起こりやすい困りごとや、仕事へ戻る際の段階的な進め方、管理職や周囲の社員ができる支援について、精神科医の視点から紹介します。

 


 

目次

復職できても元通りに働けるとは限らない

復職した従業員が困りやすいこと

「段階的に慣れていく」ことが重要

管理職に求められる支援

同じ部署で働く人ができる支援

まとめ

 


復職できても元通りに働けるとは限らない


 

主治医から復職可能と判断されたということが、以前と同じように働ける状態とは必ずしも同じではありません。

 

復職の診断は、「働くことが可能な程度まで回復した」という医学的判断であり、完全に元の状態へ戻ったという意味ではありません。

実際、うつ病や適応障害などでは、気分の落ち込みや不眠といった症状が改善しても、仕事のパフォーマンスを支える脳の機能は、その後もしばらく回復の途中にあります。

 

精神医学では、このような回復の遅れを「認知機能の低下」として捉えます。

認知機能とは、集中力や注意力、情報処理速度、判断力、複数の業務を同時に進める力などを指します。

これらはデスクワークや管理業務ほど重要になるため、症状が改善していても以前のように仕事が進まないと感じる方も少なくありません。

そのため、復職後に以前と同じ成果やスピードを求めてしまうのには注意が必要です。

 

 


復職した従業員が困りやすいこと


 

復職した従業員は、職場へ戻れた安心感と同時に、以前のように働けない焦りで不安になることがあります。

 

特に復職後1~3か月は、次のような困りごとがみられます。

 

集中力が続きづらい

マルチタスクが困難と感じやすい

判断に時間がかかり、小さなミスが増える

会議や電話対応、人とのやり取りで疲労感を強く感じる

「迷惑をかけた」「期待に応えなければ」という気持ちから無理をする

不調を感じても相談を控えてしまう

 

上記は本人の能力や意欲の問題のみでなく、回復過程で多くの方にみられる状態です。

 

また、精神疾患では疲労を自覚する感覚そのものが十分に回復していないことがあります。

そのため、まだ大丈夫と思っていても疲労が蓄積し、ある日突然体調を崩してしまうというケースも少なくありません。

 

 

再休職する方の中には、調子が悪そうな人よりも、順調に回復しているように見えていた人が限界を超えてしまうケースも珍しくありません。

 

 


「段階的に慣れていく」ことが重要


 

復職支援で最も重要なのは、元の業務へ戻すことではなく、回復に合わせて仕事の負荷を調整することです。

 

復職直後から病前と同じ業務量へ戻すことはお勧めしません。

脳の機能や体力は少しずつ回復するため、仕事も段階的に負荷を高めていくことが再発予防につながります。

 

次のようなステップを目安にしましょう。

 

回復のスピードには個人差があります。

数ヶ月経ったから元通りという考え方ではなく、その時々の状態に合わせて仕事を調整する支援が求められます。

 

 


管理職に求められる支援


 

管理職の役割として必要になるのは、適応していくことを本人だけに任せてしまうのではなく、安心して回復できる環境を整えることです。

面談では「体調はどうですか」と尋ねるだけでなく、以下のことも確認できると良いでしょう。

 

業務量は適切か

困っている業務はあるか

疲れやすい時間帯はあるか

 

業務を軸とした質問をすることで、その人の具体的な課題を把握しやすくなります。

 

また、復職者は責任感が強い方ほど「大丈夫です」と答える傾向があります。

そのため、本人の言葉だけではなく、残業時間や担当件数、会議数など客観的な負荷も確認しながら業務を調整することが大切です。

 

「休職前の自分と比べてどうか」ではなく、「先月より安定して働けているか」「できることが少しずつ増えているか」という回復の過程を確認することで、力を発揮しやすくなります。

 

 


同じ部署で働く人ができる支援


 

必要以上に気を遣い過ぎず、日頃からの挨拶や雑談など自然なコミュニケーションを心がけていただけると良いでしょう。

業務においては、何でも代わってしまうと、「自分は職場に貢献できていない」と復職者が感じやすくなり、自信を失うことがあります。

必要な支援を、必要な期間だけ行うことが自立を促す上で大切です。

 

 


まとめ


 

復職支援で最も避けたいのは、「以前と同じ働き方」に戻すことだけを目標にしてしまうことです。

 

目指すべきなのは、病前の状態を再現することではなく、その人が安心して能力を発揮し続けられる働き方を、職場とともに築いていくことです。

 

 

業務の調整や日頃からのコミュニケーションが休職後の職場の定着に大切な要素となってきます。

特別扱いではなく、一人ひとりが持つ力を再び発揮できるようにするための支援です。

 

そのような職場環境の見直しは、復職した従業員だけでなく、誰もが安心して働き続けられる職場づくりにもつながっていきます。

 

 

キーワード:休職|復職|復職支援|管理職