2人目以降の育児こそ産後ケアを

近頃どんどん普及している産後ケア。
「産後ケア」と聞くと、初めての育児で困っている人が利用するもの、というイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、助産師として産後のお母さんと関わる中で「経産婦さんにも産後ケアをもっと利用してほしい」と感じることがあります。
2人目以降の出産では、赤ちゃんのお世話に加えて上の子のお世話や家事もあります。
「一度経験しているから大丈夫」と思われがちですが、実際には前回とは違う戸惑いや大変さを感じる方も多いです。
今回は、経産婦さんにも知ってほしい産後ケアの使い方を、助産師の視点からご紹介します。
目次
❚まとめ
経産婦さんにも産後ケアを勧めたい理由
「2人目だから大丈夫」とは限らない

2人目以降の出産では、「育児は一度経験しているから、1人目よりも余裕がある」と思われることがあります。
確かに、授乳やオムツ交換など、赤ちゃんのお世話を経験していることは心強いでしょう。
しかし、2人目以降の育児では1人目とは違った大変さがあります。
赤ちゃんが泣けば抱っこをしながら、上の子の食事や着替えを手伝う。
赤ちゃんのお世話をしながら上の子の送迎や遊び相手をする。
自分が休みたいと思っても、上の子のお世話があるため、なかなか休めないこともあります。
「1人目の時は赤ちゃんが寝たら一緒に休めたけど、今はそうはいかない」
そんな状況になる方も少なくありません。
育児経験があるからこそ、「これくらいできるはず」と頑張りすぎてしまうこともあります。
下の子とゆっくり過ごす時間に

家にいると、つい目の前にある家事が気になってしまうことはありませんか?
赤ちゃんのお昼寝の間に少し休もうと思っていても、洗濯物や食器などが目に入ると、つい手を動かしてしまう。
そうこうしていると上の子が園や学校から帰ってくる時間…。
そんな日々を過ごしている方もきっと多いでしょう。
産後ケアを利用することで、いつもの家事から離れ、自然と「何もしない時間」が生まれます。
実際に利用された経産婦さんから「今日は書こうと思っていた育児日記を書くことができました」と伺ったこともあります。
赤ちゃんの寝顔を眺めたり、授乳をしたり、育児日記を書いたり。
そんな何気ない時間も、赤ちゃんとゆっくり向き合う大切な時間です。
産後ケアは、赤ちゃんと自分のために、あえて何もしない時間をつくる場所にもなるのです。
お母さん自身が休む時間も大切

出産後の身体はまだ回復途中です。
2人目以降の育児では、赤ちゃんのお世話に加えて上のお子さんのことも気になり、自分が休むのは後回しになってしまうこともあります。
産後ケアでは、助産師などの専門職に赤ちゃんのお世話をサポートしてもらいながら、授乳や育児について相談したり、自分の身体のことを話したりすることができます。
施設によっては赤ちゃんをスタッフに見てもらっている間に、ゆっくり休める場合もあります。
「少し疲れたから休みたい」
「誰かに赤ちゃんを見てもらって、その間にゆっくり寝たい」
そんな気持ちも産後ケアを利用する十分な理由です。
お母さんが元気に過ごせることも赤ちゃんやご家族にとって大切なこと。
自分のことを後回しにしすぎず、休むために産後ケアを利用していいのです。
産後ケアで得られるのは「相談」だけじゃない
同じお母さんと話すことで気持ちが楽になる
産後ケアでは、助産師などの専門職に授乳や赤ちゃんのお世話について相談できるだけではありません。
施設によっては、同じ時期に利用しているお母さん同士で話す機会もあります。
「うちの子だけ寝ないのかな」
「私だけこんなに疲れているのかな」
そんなふうに感じていたことを誰かに話してみると、「うちも同じです」「私もそうでした」と返ってくることがあります。
同じように子育てしているお母さんと話すことで「私だけじゃなかったんだ」と気持ちが少し軽くなることがあります。
誰かに話してみることで、自分が抱えていた気持ちに気づき、気持ちを整理するきっかけにもなります。
誰かと気持ちを共有できることも、産後のお母さんには大切な支えです。
産後ケアで1人で頑張らない育児を
上の子がいる場合はどうする?
「産後ケアを利用してみたいけど、上の子はどうしたらいいんだろう?」
そんな心配から産後ケアの利用を諦めてしまう方もいるかもしれません。
産後ケアの利用中に上のお子さんをどうするかは、ご家族に預ける、保育園や幼稚園などを利用するなど、ご家庭によってさまざまです。
また施設によっては、上のお子さん(きょうだい児)も一緒に利用できる産後ケアがあります。
ただし、利用できる年齢や受け入れ方法、料金などは施設によって異なるため、利用前に確認しておきましょう。
「自分のため」に使ってみる
産後ケアを利用する理由は、「育児に困っているから」だけではありません。
・ちょっと疲れたから休みたい
・赤ちゃんとゆっくり過ごしたい
・誰かと話したい
そんな小さな気持ちでも大丈夫です。
特に経産婦さんは「上の子のときも乗り越えたから」「2人目だから大丈夫」と自分の中で頑張ることを選びやすい傾向にあります。
ですが、赤ちゃんが変われば、授乳や睡眠なども変わります。
前回の経験があるからこそ、「前と違う」ことに戸惑うこともあります。
だからこそ、困っているから利用するのではなく、「少し休みたい」「ちょっと話を聞いてほしい」と思ったときに利用しても良いのです。
お母さんが少し立ち止まって、自分の身体や気持ちに目を向ける時間は、決して贅沢ではありません。
「2人目だから大丈夫」ではなく、「2人目だからこそ、誰かの力を借りてもいい」
産後ケアを、そんなふうに気軽に頼れる選択肢のひとつとして、自分のためにも利用していただきたいです。
まとめ
2人目以降の出産では、「一度経験しているから大丈夫」と思ってしまうこともあるかもしれません。
ですが、赤ちゃんが変われば、育児の方法も大変さも変化します。
さらに上の子のお世話も加わり、お母さん自身のことは後回しになりがちです。
産後ケアは育児について相談するだけではなく、赤ちゃんとゆっくり過ごしたり、お母さん自身が身体を休めたり他のお母さんと気持ちを共有したりすることのできる場所です。
2人目だから頑張らなくてはいけない、というわけではありません。
2人目だからこそ、頼れるところには頼ってほしい。
産後の限られた時間を、お母さんと赤ちゃんが安心して過ごすための選択肢のひとつとして産後ケアをぜひ利用してみてください。
キーワード:産後ケア|産後|経産婦|育児
参考文献・参考サイト
1)こども家庭庁:産前・産後サポート事業及び産後ケア事業ガイドライン
2)こども家庭庁:健やか親子21「産後ケア事業を利用したい方」