受験期、下のきょうだいはどうする? 不公平感を防ぐ親の関わり方

 

長女が高校3年生の受験勉強の追い込みに入ったころ、夕食の席で、当時中学1年生の次女がふっとつぶやきました。

「なんか、最近お姉ちゃんの話ばっかりだよね…」

その言葉にハッとしました。確かにその頃、家族の会話は受験の話題ばかり。

長女の不安やプレッシャーを少しでも和らげてあげたいと必死になるあまり、次女の気持ちに目を向ける余裕がなくなっていたのです。

 

「今は、問題を起こさないで大人しく勉強してて!」

と、次女のことを無碍に扱っていたのかもしれません。

 

受験生を抱える家庭では、どうしても上の子のサポートに気持ちが傾きがちです。

けれども、その陰で下のきょうだいが寂しさや不満を抱えていることも少なくありません。

 

親として「どちらにもちゃんと向き合いたい」と思う気持ちと、時間や気力の限界の中で揺れる思い…。そんな葛藤と、どう向き合えばいいのでしょうか。

今回は、受験期の子どもがいる家庭でできるサポートと、下のきょうだいへの心のケアについてお話ししたいと思います。

 


 

目次

受験生の心に寄り添うサポート

下のきょうだいの気持ちに目を向ける

公平感をどうつくるか

親自身の気持ちも大切に

まとめ

 


受験生の心に寄り添うサポート


 

受験を控えた高校生は、大人が想像する以上に多方面からのプレッシャーを抱えています。

模試の結果、友達との比較、将来への不安…。親に「頑張りなさい」「どうするつもりなの?」などと言われなくても、自分でも十分わかっているし、考えているのです。

そこで大切なのは、勉強の管理に口を出すことではなく、安心できる環境を整えること。

 

食事や体調のサポート

静かに勉強できる環境づくり

「今日は頑張っていたね」といった、さりげない言葉がけ

 

これらが、受験生の大きな支えになります。

また、時には勉強以外の話題を振るのも効果的です。

息抜きできる時間を意識的につくることが、長期戦を乗り越えるエネルギーにつながります。

 

 


下のきょうだいの気持ちに目を向ける


 

一方で、下の子の存在も忘れてはいけません。

受験期になると、どうしても上の子中心の生活リズムになりがちです。

 

例えば「静かにしてあげて」「今日はお姉ちゃんの模試だからお出かけはやめよう」など、気がつけば下の子に我慢させることが増えてしまいます。

そんなとき、下の子は「自分は二の次なんだ…」と感じてしまうことがあります。

寂しさや不満を心にためこんでしまうと、兄弟仲がこじれるだけでなく、親子関係にも影響が出てしまうかもしれません。

 

だからこそ、意識して 「下の子だけに向き合う時間」 をつくることが大切です。

 

一緒に買い物に行く

寝る前に少しだけおしゃべりする

「ありがとう、協力してくれて助かるよ」と声をかける

 

こうしたちょっとした関わりが、下の子の安心感や自己肯定感につながります。

 

 


公平感をどうつくるか


 

兄弟姉妹がいると、親はどうしても「公平でありたい」とは思いますよね。

けれども実際には、受験期の上の子に手をかける時間が増えるのは自然なことです。

大切なのは 「不公平さをゼロにすること」ではなく、「気持ちのバランスをとること」 です。

 

例えば、下の子には「今はお兄ちゃんが大事な時期だからサポートしているけど、あなたのことも同じくらい大切なんだよ」と、言葉でしっかり伝える。

言葉にしないと伝わらない気持ちは、意外と多いものです。

 

また、受験が終わったら「今度はあなたの番だね」と下の子を主役にする機会を意識的に作っていくと、子どもは「自分も大切にされている」と感じられます。

 

 


親自身の気持ちも大切に


 

受験生を抱える親は、とにかく気を張ってしまいます。

「もっとサポートしなきゃ」「下の子に寂しい思いをさせちゃいけない」と頑張りすぎるあまり、自分の気持ちを置き去りにしてしまう人も少なくありません。

 

でも、親の余裕のなさは子どもに伝わります。

完璧を目指すのではなく、「できる範囲でやればいい」と自分に余裕を持たせることも大切です。

 

ついつい、受験を自分ごとのように感じてしまって、緊張状態が続いてしまうこともあるかもしれません。

でも、実際に受験期を迎えている子どもたちは、見えない周りからのプレッシャーと常に戦っています。

子どもたちの気持ちのオアシスになれるのは、一番身近にいる親御さんです。

時には友人や周囲の大人に愚痴をこぼしたり、気晴らしをしたりして、親自身の心を整えることも忘れずにいたいですね。

 

 


まとめ


 

受験期は家族にとって試練の時期ですが、同時に 絆を深めるチャンス でもあります。

過ぎてしまえば、長い人生のうちの、ほんの一瞬の出来事です。

 

上の子は受験を通して大きく成長し、下の子は家族の一員として協力する経験を積みます。

そして親は、子どもたちの姿を通して「支えるとはどういうことか」を学ぶのかもしれません。

 

嵐のような日々も、やがては思い出に変わります。

完璧じゃなくても大丈夫。

家族なりのやり方で、この時期を一緒に乗り越えていきましょう。

 

 

キーワード:受験生の親|きょうだい育て|思春期子育て|家庭でできるサポート|親子コミュニケーション