【助産師解説】バースプランの役割は?後悔しないバースプランを考えよう!

 

出産が近くなってくると、よく耳にするようになるバースプラン

そもそもバースプランとはどんなもの?何を書けばいいの?と疑問に思っているママも多いのではないでしょうか。

 

今回は、助産師が伝えるバースプランの本当の役割と、書き方のポイントをお伝えしていきます。

 


 

目次

バースプランの本当の役割とは?

バースプランの書き方のポイントと例

まとめ

 


 バースプランの本当の役割とは?


バースプラン(Birth Plan)は、その名の通り、出産・出生の計画のことを言います。

 

産院によって、形式や方法は異なりますが、出産が近づいてくると、「バースプランを考えておいてくださいね」「書いてきてください」などと言われることがあります。

何のために書くのか、何を書いたらいいのかわからず、結局あまり考えないまま出産を迎えてしまうという方も実際に多くいらっしゃいます。

 

しかし、それではとてももったいない!のです。

バースプランの本当の役割を知り、上手に活用していただくために今回の内容をぜひ参考にしていただければと思います。

 

 

ママやパパの思いを病院に伝える大事なツール

 

 

バースプランは、ママやパパの妊娠、出産、産後の生活、育児について等の思いや希望を、病院のスタッフに伝える大事なツールになります。

 

出産のときどのように過ごしたい、立ち合いをどうしたいか、赤ちゃんが生まれたら何がしたいのか、逆に出産のときしてほしくないことや、望まないこと等、すべて伝えられる大事な機会です。

面と向かってはなかなか言いにくいことや恥ずかしいこと、出産の痛みの最中には伝えきれないこともたくさんあります。

初めてのお子さんの場合は、イメージするのが少し難しいかもしれませんが、想像できる範囲で構いません。希望を最大限、伝えるようにしましょう。

 

産院によって、どうしても希望がかなわないこともあるかもしれませんが、ママがどのような思いがあるのか、出産をサポートする助産師も知りたい、受け止めたいと思っていますし、最大限お手伝いしたいと思っています。

こんなことを書いたらダメかな、恥ずかしいなどは思わず、勇気をもってまずは紙に書いて伝えてみましょう。

 

 

自分らしい出産や育児スタートの後押し

 

 

バースプランを考える際には、ご自身のこれまでの妊娠経過を振り返り、そして、これから迎える出産や新たに始まる赤ちゃんとの生活のイメージを膨らませます。

ご自身の気持ちや思いを素直に書き出すことで、自分の本当の想いに気づき、その想いを受け止めるきっかけとなるのです。

 

出産は待ったなしでやってきます。

バースプランを考えず“なるようになる”というお産は、潜在的に“どこか他人任せのお産”となってしまい、不安や恐怖が強くなってしまう傾向にあります。

 

出産の達成感は、その後の育児への自信へとつながります。バースプランを考えることで、「自分の力で赤ちゃんを産むんだ」「夫婦で赤ちゃんを迎えるんだ」という意識が潜在的に生まれ、出産をきちんと自分のこととして受け止めることができます。

そして、そのプラスのエネルギーは、陣痛の痛みの感じ方にも影響していきます。

 

バースプランには、自分らしい出産や育児のスタートの後押しをしてくれる大事な役割があるのです。

 

 


 バースプランの書き方のポイントと例


バースプランの役割を理解していただければ、あとは簡単です。具体的な例を含めて見ていきましょう。

バースプランは、より具体的な内容を書いていくことが重要になります。

 

 

包み隠さず素直に書こう

 

まずは、「包み隠さず素直に書く」が鉄則です。

 

シーン別に、具体例を挙げてみますので参考にしてみてください。

 

 

⋄陣痛中

 

  • 陣痛が来ているとき、立ったり座ったり試しながら楽な姿勢で過ごしたい。
  • 痛い所を夫にマッサージしてほしい。夫に助産師さんからレクチャーしてほしい。
  • リラックスできるアロマを自宅から持参して使いたい。
  • 照明は暗めにしてリラックスできる空間で過ごしたい。
  • 心が折れそうになっていたら、優しく励ましてほしい。
  • お産の進み状況を細かく教えてほしい。こまめに声をかけてほしい。
  • 呼吸法は練習していますが、助産師さんにリードしてほしい。
  • 1人目のお産で、助産師さんや先生に怒られたことがずっと記憶に残っているので、怒ったり強い口調で言わないでほしい。
  • 夫に、おまたの方が見えないように配慮してほしい。

 

 

⋄立ち会い

 

  • 夫の立ち会いは陣痛室までにしたい。
  • 夫が立ち会いできなければ、実母に立ち合いしてほしい。
  • 立ち会いができなければ、家族とテレビ電話をつなぎたい。
  • できるだけ入院のはじめの段階から夫に立ち会ってほしい。

 

 

⋄医療処置について

 

  • 会陰切開の時には、切開することを言わずにしてほしい。
  • 会陰切開の時には、切開することを必ず教えてほしい。
  • できれば会陰切開はしてほしくない。
  • 赤ちゃんが最優先だが、できれば帝王切開はしたくない。
  • 自分の陣痛で産みたいので、陣痛促進剤はできれば使いたくない。
  • 医療処置が必要な時には、私か夫に細かく説明をしてほしい。

 

 

⋄産後直後

 

  • 生まれたら臍の緒を切ってみたい。もしくは夫に切ってほしい。
  • 胎盤が見てみたい。写真を撮りたい。
  • カンガルーケアをしたい。
  • 生まれたらすぐに母乳を吸わせたい。
  • 出産後、家族三人で写真を撮りたい。

 

 

⋄産後/育児

 

  • 母乳がでるなら、母乳のみで育てたい。
  • ミルクと母乳の混合で育てたい。
  • 沐浴や授乳など、赤ちゃんのお世話を丁寧に教えてほしい。
  • 母児同室はしたいが、辛くなったら赤ちゃんを預かってほしい。
  • 1人目は母乳育児がうまくいかず辛かったので、母乳育児を無理強いしないでほしい。
  • 退院後は、実家に帰り夫や両親にサポートしてもらいながら過ごしたい。
  • 退院後、里帰りせずに自宅に帰るため、日中は赤ちゃんと二人なので心配。赤ちゃんとの過ごし方を細かく教えてほしい。
  • 夫が育休をとってくれるが、育休後はほぼワンオペになってしまうため心配。
  • 器用なタイプではないので、育児と家のことを両立できるか心配。

 

 

⋄帝王切開

 

  • 夫に立ち会いをしてほしい。
  • 手術中、緊張するので声をかけてほしい。
  • 産声を動画に収めたい。
  • 産後の過ごし方や、痛みがどのようなものか事前に知りたい。
  • 痛みに弱いので、痛み止めをできるだけ使いたい。
  • 傷の痛みが落ち着くまで、母児同室せずに育児を手伝ってほしい。
  • 帝王切開後の傷の痛みが不安。
  • 帝王切開でも母乳が出るのかどうか心配。母乳が出るように妊娠中からケアしたい。

 

 

妊娠~出産~育児まで

 

バースプランは、出産時の計画をイメージする方が多いと思いますが、例で示したように産後入院中の希望や、どのように過ごしたいか、その後の育児をどのようにしていきたいかなども含まれます。妊娠中のことも書いてOKです。

 

ママ自身も妊娠経過を振り返るきっかけになりますし、妊娠中ママがしてきたことや、出産までにしたいことを助産師も知る機会となります。

 

 

⋄妊娠期

  • 体力づくりのために、ウォーキングを続けています。
  • 股関節が硬いので、ストレッチをするようにしています。
  • 出産前にマタニティフォトをとって、思い出を作りたいです。
  • 会陰切開をできるだけしなくて済むように会陰マッサージをしています。
  • 乳首が短くて心配なので、乳頭マッサージを妊娠中からしています。
  • お腹の赤ちゃんを感じながら、たくさん話しかけて妊娠生活を過ごしたい。
  • 出産の不安が少しでも減るように、出産について勉強しています。
  • 不妊治療でようやく授かった子なので、大事に大事に妊娠中も過ごしたい。
  • 夫と一緒に出産の映像を見たり、育児用品を選んだりして赤ちゃんのことを考えながら過ごしています。

 

 


まとめ


バースプランの役割と、書き方のポイントはわかってもらえましたか?

あまり深く考えすぎず、お産や今後の生活のイメージ膨らませながら、想いのままに書いてみてください。

 

皆さんのお産が、満足のいく素敵なお産になることを願っています。

 

 

キーワード:バースプラン|役割|書き方|自分らしい出産|育児スタート|


執筆者:高橋萌

2024.03.01