赤ちゃんのお肌は、みずみずしくきめが細かいきれいなお肌に見えますが、機能は未熟でとてもデリケートです。
乳幼児期には特に、約9割程度の赤ちゃんに季節を問わず皮膚トラブルがあるとも言われ、実際に多くのママが、赤ちゃんの皮膚トラブルを抱えています。
今回は正しいスキンケアの方法をお伝えしていきます。
目次
❚赤ちゃんのお肌の特徴
❚正しいスキンケア方法
赤ちゃんのお肌の特徴
赤ちゃんは、目や耳、脳など様々な機能が未熟なまま生まれてきます。ツヤツヤときれいに見えますが、他の臓器と同じように、皮膚も機能が未熟でとてもデリケートです。
- バリア機能が未熟
私たちの皮膚には「バリア機能」という役割があります。バリア機能とは、身体の中から水分の蒸発を防ぎ、外部からの細菌や化学物質などの異物の侵入を防ぐ機能です。
赤ちゃんは、このバリア機能が未熟なため、お肌が乾燥しやすく、外部からの刺激に敏感です。
- 肌の厚さは大人の半分
赤ちゃんのお肌は、大人の肌の半分の厚さしかありません。特に口の周りは、母乳やミルク、よだれがつきやすくお口を拭く機会も多いので、外部からの刺激を受け肌トラブルが起こりやすくなります。
- 暑がりで汗っかき
赤ちゃんの身体には、大人と同じ200~250万個もの汗腺があります。赤ちゃんは体温調整機能が未熟なため、体温が上がると、汗をかくことで体温を下げます。
汗をたくさんかくため、あせもを引き起こしたり、アトピー性皮膚炎の悪化の原因にもなってしまいます。
正しいスキンケア方法
様々なスキンケアの方法や、石鹸、保湿剤があり迷われるママも多いかと思いますが、ここでは基本的なスキンケアの方法を見ていきましょう。
スキンケアはいつから?
生後早いうちからのスキンケアが重要といわれています。産院を退院して、ご家庭での沐浴を始めると同時にスキンケアを開始しましょう。
特に、皮膚の乾燥が強い赤ちゃんは、新生児のうちから全身に保湿剤を塗ることで、アトピー性皮膚炎の発症を30~50%程度減らせるとの報告もあります。
スキンケアのポイント
正しいスキンケアとは「洗浄+保湿」です。洗うだけ、保湿だけ、ではなく両方合わせて正しいスキンケアといえます。
洗浄のポイント
ポイント①:「泡」で洗う
逆さまにしても落ちないたっぷりの泡で洗ってあげることが重要です。ガーゼなどは使わず、ママやパパの手で洗ってあげます。
固形せっけんや液体せっけんの場合は、原液のままではなく洗面器やボウルでたっぷりの泡を作ってから使うようにしてください。泡ポンプ式の洗浄剤を使っているご家庭も多いと思います。泡立てる手間は省けますが、少ない泡で洗ってしまう傾向があるので、たっぷりと手に取って洗ってあげてください。
ポイント②:しわを伸ばして洗う
首や脇、肘や膝の裏、おまたやおしり、手のひらは特に洗い残しやすい部位ですので、しわを伸ばして洗い残しがないようにしましょう。
ポイント③:すすぎ
石鹸成分がお肌に残っていると肌トラブルの原因になってしまうので、石鹸成分が残らないように、たっぷりのお湯で流してあげてください。
お顔は、目の周りを避けて石鹸で優しく洗ってあげてください。流すときには、頭を少し起こすようにして上からお湯をかけてあげます。鼻や耳にもほとんどお湯が入らず、目は自然に閉じてくれます。
保湿のポイント
ポイント①:保湿のタイミング
お風呂のあと「できるだけすぐ」保湿してあげます。よく洗い、水分をふき取った後なるべく早く保湿剤を塗ってあげましょう。
ポイント②:保湿剤の量
保湿剤の適切な量は、5gのチューブタイプの保湿剤の場合、「大人の人差し指の指先から第一関節まで出した量=大人の手のひら2枚分」が目安となります。
ローションタイプは、「1円玉大=大人の手のひら2枚分」です。
清潔な手で保湿剤をとり、塗りたい箇所に点在させてから手のひらを使って伸ばすようにやさしく塗っていきます。ローションタイプのものはヒヤッとしますので、両手のひらで温めてから塗ってあげてください。
お肌がピカッと光るくらいや、ティッシュがくっつくくらいが目安です。しわを伸ばしながら、たっぷりと全身に塗ってあげてください。
ポイント③:保湿剤の選び方
保湿剤には、軟膏やクリーム、溶液性ローション、乳液性ローション、フォーム剤、スプレー剤等様々です。一概にどの保湿剤が良いとは言えません。使い勝手の良い保湿剤を選んであげてください。
季節によって使い分けることもおすすめです。
例えば、夏はさっぱりとフォームやローション等をつかう、冬は乾燥しやすいのでクリームや軟膏等保湿力の強いものを使う等です。お子さんのお肌の様子に合わせて選んでみてください。
医療機関受診のタイミング
湿疹や強い乾燥、あせも等、赤ちゃんの肌トラブルは様々です。
正しいスキンケアで良くなることも多いですが、それでもあまりよくならず、お薬を必要とする場合があります。
- スキンケアをしても、お肌をこすりつけるような、かゆがっている様子が気になるときには医療機関を受診しましょう。
- かゆがる様子はなくても、正しくスキンケアを行って2週間以上赤く、ガサガサしている状態が続くような場合も医療機関を受診してください。
- 医療機関を受診してお薬を1週間使っても治らない時には、再受診をおすすめします。お薬があっていない場合や塗り方が足りない場合もありますので、一度先生に相談しましょう。
まとめ
スキンケアの基本は「洗浄+保湿」です。退院後、早めにスキンケアを始められるように、石鹸や保湿剤などのスキンケア用品を妊娠中から準備をしておきましょう。
お風呂やスキンケアの時間は、ママ、パパと赤ちゃんの大事なふれあいの時間です。スキンケアを楽しく習慣にしていけるといいですね。
キーワード:赤ちゃん|お肌|スキンケア|
参考文献
・「乳幼児スキンケア」独立行政法人環境生成保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/archives_30520.html
・「小児アレルギー疾患保健指導の手引き 2023年改正版」厚生労働省研究班 研究代表者:足立雄一 富山大学医学部小児科
・「ぜん息悪化予防のための小児アトピー性皮膚炎ハンドブック」独立行政法人環境生成保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/archives_1028.html
執筆者:高橋萌