【医師解説】愛情はゆっくり育つもの。子育てに不安を抱えるママパパへ。

 

出産を終え、お腹の中にいた我が子に会えた時の喜びは計り知れないものだと思います。

その半面、退院したその日から始まる赤ちゃんとの生活に「自分にできるだろうか?」という疑念や、

これから先への不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

今回は、育児で感じる不安にはどのようなものがあるのか、ママパパが感じやすい具体的な例を挙げながらそれを乗り越えていくための実践的な対処法を紹介していきます。

 


 

目次

育児で感じやすい不安とは?

まとめ

 


育児で感じやすい不安とは?


 

「子どもを虐待してしまったらどうしよう」という不安

 

親になるにあたって「自分の感情を制御できるだろうか」「怒りやストレスを感じ、子どもに強く当たってしまうのではないか」という恐れを抱く方も少なくありません。

このような感情は、親としての重圧感や責任感から来るものだと考えられます。

ですが、不安を抱えているということは、親としての自覚がしっかりと芽生えている証拠でもあります。

 

対処法

1.感情の認識と受容

怒りや不安などの感情を感じることは、人間にとって自然なものです。

そのような感情を感じてしまったことを否定するのではなく、まずは自分自身の感情に気づき、「こう感じてもいいんだ・仕方のないことなんだ」と受け入れることが大切です。

感情を否認することを続けていると、不安感が更に増してしまう場合があります。

 

2.リラックスできる時間をつくる

お子さんが眠っている間や一人で遊んでいる時間など、短時間でも良いのでリラックスできる時間にあててみると良いでしょう。

深呼吸やストレッチ、温かい飲み物を飲むなど、簡単なものから試してみてください。

腹式呼吸は、筋肉の緊張をほぐして心を落ち着かせてくれる効果があります。

息を吐いたときはお腹が平らに、息を吸ったらお腹が膨らむということを意識して呼吸すると、深く良い呼吸ができます。

1日数分でも問題ありません。毎日のルーティンとして取り入れてみましょう。

 

3.相談、サービスの活用

一人で悩みすぎず、信頼できるご家族の方や友人、または専門家に相談することも大切です。

パートナーと感情を共有するだけでなく、自治体が提供している子育ての相談窓口や専門のカウンセラーに相談する機会をつくることも良いです。

 

 

「しっかりと愛情を注げるか不安」

 

親としてできることの一つに「愛情を注ぐこと」がということがあると思います。

愛情を注ぐといっても、それぞれのご家庭、ママ・パパによって方法や表現は変わってくると思いますし、

我が子をいくら愛していたとしても「しっかりと愛情を注げているのだろうか」という不安を抱くこともあるのではないでしょうか。

 

特に、産後すぐに赤ちゃんに対しての愛情を感じられないという場合、これから先の赤ちゃんとの生活において不安が強まることもあります。

しかし、我が子への愛情は一夜にして育まれるものではなく、日々の生活の中で少しずつ形成されていくものです。

 

対処法

1.愛着形成に時間をかけて

日々の赤ちゃんとの触れ合い、我が子の成長を感じるなどを通して、自然と愛情は生まれていきます。

一緒に生活する中で赤ちゃんとの愛着が少しずつ築かれていることを意識してみましょう。

 

2.産後のサポートを活用する

産後のママと赤ちゃんを対象とした各自治体が行っている産後ケアやコミュニティの利用も良いでしょう。

産後ケアでは、助産師や保健師による心身のケアや育児のサポートを受けることができ、

コミュニティへの参加で同じ悩みを抱えていたり、経験をしている方との交流することができます。

「自分だけではない」と感じられることが安心感につながることもあります。

 

3.完璧を求めなくて大丈夫

完璧なママ・パパ」というものはありません。

「何事も完璧じゃなくても良い」「経験を通して少しずつ成長していけばいい」と気軽に考えてみることも、心の余裕に大切なことです。

 

 

「子育てに自信が持てない」

 

多くの新米ママパパが感じることに「自分は良い親になれるだろうか」という不安でです。

子育ては、人生において学びの多いことであり、最初から完璧にできる人はいません。

最初から自信がなくても問題ありません。

子育てをしていく中で少しずつ自信を持っていきましょう。

 

対処法

1.学びを積極的に取り入れる

育児書を読む、ママパパで参加できる子育て講座に参加するなど、子育ての知識を深めることで不安が軽減されることもあります。

子の成長・発達に対して理解も深まり、必要な援助やこうした関わりが良いということが見えてくるかもしれません。

 

2.経験の共有

他のママパパとの交流は、自分の悩みや経験をシェアしたり、助け合ったりできる場となります。

地域の子育てサークルやオンラインのコミュニティなどを利用し、先輩ママパパからのアドバイスを参考にするのも良い方法です。

 

3.自分自身を認めて、褒める

赤ちゃんが笑ってくれた、泣いていたけどあやしたら泣き止んだ、おむつを替えて気持ち良さそうなど、

このような赤ちゃんの様子はママパパが子のことを大切に思い、しっかりと向き合っているという何よりの証拠です。

赤ちゃんと過ごす中での何気ないことも意識的に認めるようにし、肯定感を高めていくことが子育ての自信にもつながります。

 

 


まとめ


子育てとは、赤ちゃんが成長していく中で必要不可欠なものですが、親として成長していくための道にもなります。

完璧な子育てはありません。最初からなんでもできる完璧なママパパもいません。

日々の育児や小さな成功を積み重ねていくことが、赤ちゃんとの愛着関係や親としての自信を育む鍵となります。

ぜひ、子育てに対して前向きに、楽しくお過ごしいただければと思います。

 

 


執筆者:Dr.MTG

2025.01.22