【医師解説】妊娠・育児:協力する力を育てる方法

 

「人に頼ることが苦手」という性格特性は、多くの方が抱える課題ではないでしょうか。

特に妊娠や育児といったライフステージにおいては、この課題が特に表れることがあります。

妊娠中や育児中は、体調の変動やホルモンバランスの変化、日々の生活に新しい責任がかかるなど、これまでの生活とはがらりと変化することが多いかと思います。

 

自己依存の高さは自立の証のように見えるかもしれませんが、すべてを一人で達成することは、心に大きな負担をもたらすことがあります。

そのため、援助を求めるという力を身につけることが重要です。

今回は、他人と協力するスキルを身につけ、周囲のサポートを上手に活用する方法について詳しく解説していきます。

 


 

目次

人に頼ることの心理の壁

信頼できる人を見つける

協力するスキルを身につける

コミュニケーションの技術

自己受容性とリスクの評価

まとめ

 


人に頼ることの心理の壁


「人に頼ること」をためらう理由は人によって様々です。

よくある心理障壁として、以下のようなものが挙げられます。

 

  • 弱さを見せたくない:他人に頼ることで、弱さや未熟さを露呈してしまうと感じる
  • 迷惑をかけたくない:誰かに頼むことで、その人に負担をかけたくないという気持ちを強く感じる
  • 自立したいという欲求:他人に頼ることで「自立していない」と思われることを恐れ、自分一人で全てをこなせしたいと感じる

 

しかし、私たちは社会的の一員であり、誰もが他者と協力し合って生きています。

 特に妊娠中や育児期は、身体的・精神的な負担が大きいため、他人の助けを求めることが、自然で健康的な選択です。

助けを求めることは一時的な弱さの表れではなく、自分自身や家族の健康と幸福を考慮するためにも大切なこととなります。

 

 


信頼できる人を見つける


誰かに頼ることをスムーズに行うためには、まず信頼できる人を見つけることが大切です。

 

 

  • パートナー

妊娠中や育児中の最も身近なサポート役は、やはりパートナーです。

日常生活の中で、少しずつ小さなことでもパートナーに協力を求めて、負担が軽減されるだけでなく、家事の一部や育児を分担してもらうことで、休息の時間を確保できます。

 

  • 家族

親や兄弟姉妹などの家族は、多くの場合、あなたを助けたいと考えます。

育児に不安を感じたり、体調に異変を感じたときは、家族に頼ることで安心感を得られるでしょう。

特に、ご両親は育児経験があるため、具体的なアドバイスや手助けをしてくれることが多いです。

 

  • 友人や近隣住民

友人やご近所の方々も、小さな子どもがいる家庭の支援に理解があることが多いです。

友人やご近所のネットワークを大切にし、日常のちょっとしたサポートを依頼できる関係を築いておくことも大切です。

 

 


協力するスキルを身につける


他人に頼ることが苦手な場合、少しずつ小さなことから頼ってみるということが必要です。

以下のようなことを参考にしてみましょう。

 

 

  • 小さなお願いから始める

例えば、買い物を代わりに頼んだり、一瞬だけ子どもを見てもらったりするなど、日常的なことをお願いすることで、

自分も誰かに頼っても良いという安心感を徐々に高めることができます。

 

  • 感謝の表現を忘れない

誰かに助けてもらったら、その都度感謝の気持ちを伝えることが大切です。

「ありがとう」という言葉は、相手がまた協力してくれる鍵となります。

気持ちを伝える小さな行動が、他人との良好な関係を維持する助けとなります。

 

  • 相手の立場を考慮する

相手に何かを頼む際は、相手の状況や時間に配慮しましょう。

相手に余裕がありそうな時に助けを求めるようにし、お互いに無理がない範囲で頼むようにしましょう。

 

 


コミュニケーションの技術


他人と協力していくためには、コミュニケーションが非常に重要です。

自分の気持ちやニーズを正確に伝えることで、スムーズな協力が可能になります。

 

 

  • 状況を伝える

相手に何をしてほしいのか、どのような支援が必要なのかを明確に伝えることが大切です。

適切な支援を受けられるよう、はっきりと具体的にお願いすることで相手もどう動くべきか考えることができます。

 

  • 相手の意見を尊重する

協力を求めるには、相手の意見や提案も尊重してみましょう。

 時には、自分が考えていた以上に良いアイデアや支援を得られることもあります。

 

 


自己受容性とリスクの評価


他人に頼ることに対して心理的な抵抗がある場合、自分自身と向き合い、

なぜそのように感じるのかを理解することが必要です。

 

 

  • 自己受容

一人で考えることがすべて良い結果を生むとは限りません。

カウンセリングを受けるなど、自分の気持ちに向き合い、誰かに頼ることが悪いことではないという認識を持てるようにしていきます。

 

  • リスクの評価

疲労やストレスを感じることがある場合は、妊娠中や育児期の身体への影響にも考慮する必要があります。

誰かに支援を求めることでリラックスでき、結果的に家族全体の生活がスムーズに回せるということも多いかと思います。

 

 


まとめ


妊娠中や育児中は、人の助けを借りることで心身の健康につながり、家族全体の生活の質を向上させることもできます。

人に頼ることを苦手と感じている場合でも、少しずつ小さなことから助けを求める力を育てていくことで、より豊かな生活を送ることができます。

 周囲のサポートを受け入れ、支え合うことが、妊娠・育児生活を楽しく過ごすことへの第一歩となります。

 

 


執筆者:Dr.MTG

2024.10.24