【医師解説】うつ病と向き合う|治療の選択肢と回復への道

 

目次

うつ病とは?心と身体に起こる変化

治療の選択肢:薬と心理療法のバランス

向精神薬の効果と注意点:三環系抗うつ薬のリスクとは?

日常生活でできること:回復を助ける習慣

周囲のサポートの大切さ:家族や友人にできること

まとめ

 


うつ病とは?心と身体に起こる変化


「最近やる気が出ない」「何をしても楽しくない」―うつ病の症状は人それぞれですが、共通するのは”気分の落ち込み”だけではありません。

食欲の低下、不眠、身体のだるさなど、身体的な症状が出ることも多いのです。

 

ある患者さんはこう話していました。

「最初はただ疲れているだけだと思っていました。でも、何をしても楽しくなくなって、毎日がただ過ぎていくだけになったんです。」

うつ病は「怠け」ではなく、脳の働きが変化する病気です。適切な治療を受けることで回復できます。

 

 


治療の選択肢:薬と心理療法のバランス


治療法には大きく分けて「薬物療法」と「心理療法(カウンセリングなど)」があります。

 

薬物療法

抗うつ薬は脳の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)を調整し、気分を改善する役割を持ちます。

最近では、副作用が少なく効果の高いSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が主流ですが、三環系抗うつ薬(TCA)などの古いタイプの薬も使われることがあります。

 

心理療法

認知行動療法(CBT)などの心理療法は、考え方や行動のクセを見直すことで、うつの症状を和らげる方法です。

薬と組み合わせるとより効果的です。

どの治療が合うかは人それぞれ。医師と相談しながら、自分に合った方法を見つけることが大切です。

 

 


向精神薬の効果と注意点:三環系抗うつ薬のリスクとは?


向精神薬とは、脳の中枢神経系に作用し、思考・感情・意欲などの精神機能に効果のある薬剤のことをいいます。

向精神薬の中には、注意が必要なものもあります。特に三環系抗うつ薬(TCA)は、心臓への影響が指摘されています。

 

例えば

TCAは心筋伝導(心臓の電気信号の伝達)に影響を与え、不整脈やQT延長(心臓のリズムの乱れ)を引き起こす可能性があります。そのため、心疾患を持つ方には慎重に処方されるべき薬です。

 

また、TCAは眠気や便秘などの副作用が強いこともあり、最近ではSSRIやSNRIといった新しい薬がよく使われます。

薬にはメリットとデメリットがあるので、「この薬が合わないかも?」と思ったら、遠慮せずに医師に相談しましょう。

 

 


日常生活でできること:回復を助ける習慣


治療だけでなく、日常生活の工夫も回復を助けます。

 

  • バランスの良い食事をとる

うつ病の人は食欲が落ちがちですが、栄養バランスの取れた食事が回復を助けます。

特に、ビタミンB群やオメガ3脂肪酸を含む食品(魚・ナッツ・野菜)が良いとされています。

 

  • 無理のない範囲で体を動かす

軽い散歩やストレッチでも気分が変わることがあります。

「運動しなきゃ!」とプレッシャーを感じる必要はなく、自分が心地よいと思う程度で十分です。

疲労感が強い時は、ひたすらゆっくり横になって休むことも大切です。

 

 


周囲のサポートの大切さ:家族や友人にできること


「うつ病の人にどう接すればいい?」と悩む家族や友人も多いです。

 

やってはいけないこと

  • 「頑張れ」と言わない
    うつ病の人はすでに頑張っています。「もっと頑張れ」と言われると、追い詰められてしまうことも。
  • 「気の持ちよう」と片付けない
    うつ病は気持ちの問題ではなく、脳の働きが変化する病気です。

 

代わりにできること

  • 「話を聞く」ことに徹する
    アドバイスをするより、「つらいね」と共感することが大切です。
  • 「何も干渉せず見守ってあげる」
    「散歩に行こうか」「一緒に映画を見よう」など積極的に声をかけずに、本人からのアプローチがあるまではそっと見守り続け、日常を支えるのも良い方法です。

 

 


まとめ


うつ病は誰にでも起こりうる病気ですが、適切な治療と周囲の理解があれば、回復への道は開かれています。

  • 治療法は薬と心理療法の組み合わせが有効
  • 三環系抗うつ薬には注意が必要だが、適切に使えば効果がある
  • 日常生活の工夫(生活リズム・食事・運動)が回復を助ける
  • 家族や友人のサポートが大切

 

「この状態はいつまで続くんだろう…」と不安に思うかもしれません。

でも、焦らず、自分のペースで進んでいけば大丈夫です。

少しずつ、できることから始めていきましょう。

 

 

キーワード:うつ病|薬|心理療法|サポート


参考文献


執筆者:Dr.MTG

2025.03.13