【助産師解説】赤ちゃんの便秘、綿棒浣腸のタイミングと方法!

 

ママやパパの育児の悩みで多いのが「赤ちゃんの便秘」です。

赤ちゃんの月齢によって、うんちの回数や性状は変わっていきます。

うんちの回数が急に減り、心配になるパパやママも少なくありません。

 

今回は、赤ちゃんの便秘気味のサインや、ご家庭で出来る便秘対策についてお伝えします。

便秘対策の一つとして「綿棒浣腸」についても詳しく解説していますので参考にしてみてください。

 


 

目次
そもそも赤ちゃんの便秘とは?

赤ちゃんの便秘気味のサインは?
便秘気味対処方法は?
綿棒浣腸について詳しく知りたい!
まとめ

 


そもそも赤ちゃんの便秘とは?


便秘とは、「便が滞った、または、便がでにくい状態」のことを言います。

赤ちゃんの便秘は、母乳からミルクへの移行や離乳食の開始時期になりやすいと言われています。

お子さんによって、うんちの頻度や量には個人差があるため、一概に「〇日うんちがでていないから便秘」とは断言できません。

そのため、お子さんの便秘気味のサインをママやパパが見つけてあげることが早めの対処につながります。

 

 

便秘になりやすい時期

 

赤ちゃんの便秘は、母乳やミルクの不足、離乳食や食事の変化、食物繊維不足により便が硬くなり出にくくなる、いきむ力が弱く排便できないなどが影響しています。

特に1歳未満の赤ちゃんでは、新生児期、生後2~3か月頃、離乳食開始時期の生後5~6か月頃が便秘になりやすい時期と言われています。

 

 

月齢ごとのうんち回数目安

 

始めにもお伝えした通り、うんち回数や量等は個人差があるため「〇日出ていないから便秘」とは断言できません。

しかし、月齢ごとの赤ちゃんのうんち回数の目安を知ることで、便秘気味のサインに気づきやすくなることがあります。

 

「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」では、健康児の排便回数は以下のように示されています。

 

 

回数に幅があることを見るとやはり、お子さんによって個人差は大きいと言えます。

お子さんの排便ペースを把握してあげながら、便秘気味のサインに気づいてあげる参考にしてみてください。

 

 


赤ちゃんの便秘気味のサインは?


消化機能の発達により、うんちの回数や形態は変化していきます。そのため、回数や量だけでは便秘の判断はつきにくいのです。

「もしかしたら便秘気味?母乳やミルク、水分や食事量が足りていない?」等に気づいてあげるためには、赤ちゃんの身体や状態をよく観察してあげることが重要です。

 

 

便秘気味のサインには、

 

  • 母乳やミルクの飲みが悪い
  • 吐き戻しが多い
  • 離乳食を食べる量がいつもより少ない
  • お腹が胸の高さより高くパンパンに張っている、出べそになっている
  • 踏ん張っているが、いつもより量が少ない/出ない
  • 機嫌が悪い

 

などがあります。

 

 


便秘気味の対処方法は?


便秘気味のサインがみられるときには、これから紹介する対処法を試してみることで排便を促すことが期待できます。

様子を見すぎてしまうと便がさらに硬くなり、より出しにくくなることがあるので、気になったときには早めに行ってみましょう。

 

 

  • 母乳やミルク、食事量の調整

 

母乳やミルクの吐き戻しがない、離乳食も食べられるようであれば、いつもより少し量を増やしてあげてみてください。

 

 

  • 「の」の字マッサージ

 

腸の動きが悪くなることでも便が出にくくなります。朝起きたときやお風呂上りに、お臍を中心として「の」を書くように、お腹を軽く押してマッサージします。

 

 

  • 足の運動や、うつぶせ寝、寝返り練習

 

赤ちゃんの股関節を動かしてあげることで、腸の動きが活発になります。ママ、パパとのスキンシップの時間として取り入れてみてください。

仰向けでふくらはぎから足首付近をつかみ膝を曲げる動きや、うつぶせ寝や寝返りの練習をすることも腸への刺激となり、便秘の解消に効果が期待できます。

 

 

  • おしりふきで刺激

 

オムツ交換の時に、おしりふきをママの人差し指に巻き、肛門を軽く押してマッサージします。

うんちが肛門近くまで来ていれば、この刺激だけでも肛門がぴくぴく動いて踏ん張り始めることがあります。

 

 


綿棒浣腸について詳しく知りたい!


お腹のマッサージや運動、おしりふきの刺激をしてもうんちが出ないときには、綿棒浣腸を試してみてみましょう。

お腹が張って、ガスが溜まっているようなときにも効果的です。

 

 

  • 綿棒浣腸を行うタイミング

 

授乳や食事の30分後が腸の動きが活発になっていると言われていて、このタイミングで綿棒浣腸をしてあげるとより効果的です。

授乳直前は空腹で機嫌が悪い、直後はうんちを出すために踏ん張ることで嘔吐してしまう可能性が高いので、できれば避けて行ってください。

 

 

  • 用意するもの
    ・普通サイズの綿棒を用意します。(ベビー綿棒は細すぎるのでNGです)
    ・ベビーオイルやワセリン
    ・おむつ替えシート
    ・通常のオムツ替えの道具

 

 

  • 手順

① おむつ替えシートの上に赤ちゃんを仰向けに寝かせ、オムツを外します。

 

② 綿棒にベビーオイルやワセリンを付け、滑りが良くなるように準備します。

 

③ 片手で赤ちゃんの両足をつかみ、膝がお腹に近づくような形で足を抑え、肛門が見えるように支えます。

 

④ 綿棒を肛門にあて、小さな円を描くようにしながら綿棒の先(綿の部分)が全部入るくらいまで入れていきます。

 

⑤ 腸の壁をこするようにぐるぐると円を描くように綿棒を回します。肛門を痛めないように優しく行ってください。

綿棒自体を回すのではなく、肛門の穴を広げるようなイメージで刺激をします。

 

 

すぐに出ることもあれば、少し時間が経ってから出ることもあります。

数時間待っても出ない時は、タイミングを改めて再度行ってみてください。

 

勢いよくうんちが出ることや、踏ん張ることでおしっこも同時に出ることがありますので男の子の場合は特に注意です。

 

 


まとめ


便秘気味かも!というサインがあるときには、まず低刺激なもの(腸の動きを高める運動やお腹/肛門のマッサージ)から行い、それでも出ない時には綿棒浣腸を試してみるのがおすすめです。

 

あまりにも便が出ない日が続く、機嫌が悪い、母乳やミルクの飲みや離乳食の量が少ない、お腹の張りが取れないなどの症状が気になるときには、かかりつけの小児科に相談してみてくださいね。

 

 

キーワード:赤ちゃん|便秘|サイン|対処法|綿棒浣腸


参考文献
・「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会
・「こどもの便秘-正しい知識で正しい治療を-」小児慢性機能性便秘診療ガイドライン作成委員会


執筆者:高橋萌