聞いてはいたけど、こんなに痛いの?こんなに張るの?と授乳に苦戦するママは少なくありません。
夜間授乳の疲れや痛み、先が見えない不安で涙が出る日もありますよね。
始めにお伝えしておくと、、、
「張りは必ず落ち着きます!」
ずっとこのままなのでは?耐えられない!と感じているママもいると思いますが、必ず胸の張りは落ち着く時がきますので一緒に乗り越えましょう。
今回は、なぜ胸が張るのか、張りが強い時の対処法をお伝えしていきたいと思います。
胸が張るのはどうして?
胸が張って痛みがある、張りが強く赤ちゃんが吸い付きにくいなどを経験すると、胸が張ることや授乳が「痛い、辛い」というネガティブな印象になってしまうことがあると思います。
しかし、胸の張りは決して必ずしも悪いことではありません。
むしろ、胸が張るということは、母乳を作るホルモンがたくさん出ている、母乳がたくさん作られているというサインなのです。
出産が終わると、ママのホルモンバランスはガラリと変わります。
母乳を作り、母乳を出すホルモンが急増します。
授乳が始まり、赤ちゃんがおっぱいを吸ってくれることで、ホルモンの分泌はさらに加速し、胸の張りが起こります。出産後の生理的な現象というわけなのです。
授乳開始後3~4日目頃になると特に張りが強くなってきます。
授乳をしているほぼ全ての方が、胸の張りを経験しますが、張り具合には個人差があります。
特に張りが強い方は、以下のようなことが起きている可能性があります。
- 作られる母乳量より、赤ちゃんの飲む量が極端に少ない
- 母乳が作られるスピードに乳首先の母乳の出口(乳口)の開通が追いついていない。
- 体質的に、母乳分泌過多(母乳が作られすぎ出すぎてしまう方)
- 乳腺炎を起こしてしまっている
このような場合に、特に胸の張りが強くなりカチカチになってしまいます。
正しい対処法は?
母乳が作られることを止めることはできませんが、張りを和らげられる方法や、母乳が作られるスピードを緩やかにする方法はあります。
頻回に深く吸わせる
胸の張りが強いときは、とにかく赤ちゃんに頻回に、かつ深く吸ってもらうことが必要です。
乳首が痛くて吸わせられない、うまく赤ちゃんが吸いつけないなどの方もいると思いますが、吸わせられるタイミングでトライしてみてください。
問題なく吸わせられる方は、赤ちゃんが欲しがるたびに頻回に吸わせていきましょう。
出産した産院によっては、「3時間おきに授乳をしましょう」と指導された方もいるかもしれませんが、あくまで目安として考えてください。赤ちゃんが欲しがるタイミングで吸わせてOKです。
意識してほしいことは「深く吸わせる」ということです。
乳首だけ吸っている状態は吸い方が「浅い」状態です。吸っている割に母乳が飲めていない、乳首が傷つく原因になります。乳輪が見えなくなるくらい赤ちゃんの口に含ませるように授乳してください。
赤ちゃんの口がアヒル口のようになっていると良いです。
すぐに外れてしまう、浅くなってしまう場合は、乳頭や乳輪が硬くなっている可能性があります。
吸わせる前にご自身の指で赤ちゃんの口に入る部分(乳輪~乳頭)をマッサージしましょう。
マッサージしていると母乳が出てくると思いますが、母乳を搾ろうと思わなくて良いので、柔らかくすることを意識してください。
マッサージをして柔らかくなった後に吸わせていきます。
授乳のタイミング以外では触らない
胸の張りが強いと、どうしても張りや痛みが気になり、胸を触ってしまうママが多くいます。
胸が動くことや触ることで刺激となり、より母乳が作られてしまいます。気になるとは思ますが、授乳のタイミングまで胸は触らないようにしましょう。
ブラジャーは、締め付けが少なくノンワイヤーのものを使うと良いです。
クーリング
張りがあり、痛みが強い場合や熱を持っているときには、冷やすことも有効です。
冷たい水に浸したタオルを絞り、仰向けの姿勢で胸の上に乗せて冷やす、保冷剤にガーゼを巻いて(保冷剤が直接肌に触れないように)特に痛みが強い部分にあてて冷やすこともあります。
冷やすことで、母乳が作られるスピードが少し緩やかになります。
逆に、胸や身体全体が温まることで、血液の循環が良くなり、母乳が作られますので、シャワーの時にはあまり胸を温めすぎないように注意しましょう。
適度な搾乳
「張るから、飲ませる。飲ませても張るから、さらに搾る。」これは少し危険です。
母乳は、出れば出ただけ新たに作られます。搾ってスッキリ軽くしたい気持ちもわかりますが、搾りすぎは、その分ガツンっとさらに張ってしまいます。
吸わせた後でも、まだ張りが辛く搾乳をするときは、多少胸が軽くなる程度でとどめておいてください。
助産師の乳房マッサージ
- 張りが強くて自力で対処できない、吸わせられない
- ガチガチで胸が揺らせないほど痛い
- 吸わせても軽減しない
- 胸全体が赤く熱い
- 発熱や寒気がある
- 乳首が痛くて吸わせられない、搾乳もうまくできない
上記のように胸の張りが強く、自力で対処できない時には、プロに頼りましょう。
胸の状態は日々変化をしますし、人それぞれです。自力でのケアが限界な場合もあります。
助産師の中には、母乳ケアに特化した専門の助産師がいます。自宅のお近くに、「母乳外来」「母乳育児相談室」等があるようなら、乳房マッサージを受けることをおすすめします。
もし近くにないようであれば、出産をした施設の助産師さんに診てもらいましょう。
乳腺炎の可能性や、乳腺炎になりかけていることもありますので、困ったときには個別に相談してみましょう。
まとめ
なぜ胸が張るのか、対処法などをお伝えしてきましたが、乳頭や胸の形・大きさ、胸の張り具合や母乳の出具合、赤ちゃんのお口の大きさ…など人それぞれです。それぞれに合う方法が必ずあります。
病院の授乳室で手際よく授乳をするママや、SNSで楽しそうに授乳や子育てしているママ…。
私ばっかりこんなに大変、苦しい、うまくいかないと思っていませんか?
実はみんなそれぞれ違った悩みや不安を抱えています。
授乳が軌道に乗るタイミングも人それぞれです。焦らず、ゆっくりやっていきましょう。
一人で頑張ろうとせず、専門家にぜひ頼ってください。
自分と赤ちゃんに合う方法を、ゆっくり見つけていきましょうね。
キーワード:胸が張る|対処法|授乳|母乳外来|乳房マッサージ
参考文献
周産期ケアマニュアル第2版 立岡弓子
執筆者:高橋萌