最近は耳にすることも多くなってきた「産後ケア」。利用したことのあるママもいるのではないでしょうか。
現在妊娠中で、産後に使いたいなと検討している方もいるかもしれませんね。
産後ケアは、産院退院後、病院や診療所、助産所、保健センター、産後ケアセンター、産後ケアホテル、利用者のご自宅等において、助産師などの看護職が中心となり、ママと赤ちゃんの心身のケアや育児のサポートをするサービスです。
産後ケアにもいくつか種類があり、行政実施サービスや民間サービスでの違いもあります。
今回は、産後ケアでどのようなケアが受けられるのか、利用方法等をお伝えしていきますので産後の参考にしてもらえればと思います。
産後ケアとは?
三世代同居が当たり前だった時代、産院退院後のママたちは、実母や義母などご家族のサポートを得られることが多く、ママはご自身の身体と赤ちゃんのことだけを考えて産後しばらくの期間を過ごすことができました。
しかし、核家族化が進む現代では、産後頼れる人がいない状況で子育てをしていく方が多くいらっしゃいます。
産後は、出産の疲労が取りきれないまま、赤ちゃんとの生活が始まり、頻回な授乳をしていきます。ホルモンバランスの急激な変化により、精神的にも不安定になりやすい時期です。
赤ちゃんの成長に合わせて、ママの悩みも日々変化し、不安や悩みは尽きません。
そのような中で、専門家からのケアを受けることで、ママが心身ともに回復し、赤ちゃんとの生活を安心して過ごしていけるようにお手伝いするのが産後ケアです。
産後ケアではどのようなケアが受けられるのかを紹介していきます。
- ママの体調管理と回復へのケア
妊娠期間10か月かけて、ゆっくり変化してきた身体は、出産を機に6週間ほどで妊娠前の身体に戻っていきます。
急激な変化に、身体には負荷がかかっていますので無理は禁物です。日々の授乳や育児で、ゆっくり休むことができず疲労困憊なママには、安心できるスタッフに赤ちゃんを預け、休息が必要な時もあります。
また、ママの血液からできた母乳を飲んで赤ちゃんは成長しますので、ママの栄養状態はとても大事です。
そのほか、マッサージや整体などを受けられる施設もあり、ママの体調回復へのケアを受けられます。
- ママの心理的ケア
子育てが思うようにいかない、授乳がうまくできない、赤ちゃんの成長が心配・・・等ママの心配事や悩みは尽きません。不安や疲労から精神的に滅入ってしまうこともあります。
そんなママの気持ちに専門家が寄り添い、楽しく子育てができるようにサポートします。
- 授乳や乳房トラブルへのケア
産後特に多いお悩みが授乳についてです。授乳方法や、乳房のセルフケア等を専門家からじっくり聞き、サポートを受けながら授乳をすることができます。
- 赤ちゃんのお世話や発達・発育についての相談
オムツ交換や沐浴、スキンケアなど様々な育児や、赤ちゃんの発達・発育についてのアドバイスを専門家から聞くことができます。
- 生活の相談、支援
赤ちゃんとの生活全般についての相談や、ご家族へのアドバイスなどもしてもらえます。
宿泊の産後ケアでは、食事や身の回りのことをしてもらえるので、赤ちゃんとの時間をゆったりと過ごすことができます。
産後ケアの種類
産後ケアには、①宿泊型、②デイサービス型、③訪問型の3種類があります。
さらに行政実施のサービス、民間実施のサービスかの違いにより利用料金や、利用可能日数/回数、サービスの内容も異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
①宿泊型
施設に宿泊をして、ケアを受けながらゆっくりと過ごすことができます。
病院や診療所、助産院は、出産した施設でそのまま利用できる場合もありますし、一度退院して、その後産後ケアとして再度利用することもできます。産院とは別の施設の利用もできます。産後ケアセンター、産後ケアホテル等の施設もあります。
②デイサービス型
日帰りのケアなので、宿泊よりもお手頃な料金で利用ができます。日中手伝ってくれるご家族がいない方や、育児に疲れてしまい一息つきたい方、授乳を見てほしい方なども活用しやすくなっています。
③訪問型
訪問型は、①②とは異なり、利用者のご自宅で助産師のケアを受けることができます。
上のお子さんがいて移動が難しい方や、退院後間もない方、自宅での育児方法のアドバイスが欲しい方等に利用しやすいサービスです。
行政実施の「産後ケア事業」は、市町村の事業として改正母子保健法という法律に位置づけられ、近年では多くの市町村で産後ケア事業が行われています。
そのため利用料の助成が受けられる市町村が増えてきており、自己負担が少なく、産後ケアを利用できるようになってきています。
市町村によって助成額や利用可能日数/回数は異なるため、お住まいの市町村ホームページや窓口へお問い合わせください。
例えば、新潟県新潟市の場合(令和5年度)
①宿泊ケア:自己負担額2,500円/日、7日まで(1泊2日で5,000円)
②デイケア:自己負担額2,000円/日、訪問ケアと合わせて7日回まで
③訪問ケア:自己負担額1,000円/回、デイケアと合わせて7回まで
さらに、各サービスの初回利用時、自己負担額0円(無料チケット)で利用ができます。
民間の産後ケアサービスは、産後ケアセンター、産後ケアホテルなどがあります。行政実施の産後ケアとは異なり、利用料の助成はありませんので高額になることがあります。
しかし、ママがリラックスできる環境が整えられていたり、ご家族で宿泊が出来たりと、ゆったりと過ごすことができます。
もちろん助産師など専門のスタッフがいますので、授乳や育児のケアも手厚く受けることができ、赤ちゃんを預かってもらいゆっくり休むこともできます。
よりリラックスできる空間で、ホテルならではのおもてなし、ママの養生のためのケアやベビーマッサージなどサービスが充実しています。
利用するには?
- 行政実施の産後ケア事業利用
行政が実施している産後ケア事業では、市町村から委託を受けている施設の産後ケア利用の場合に、利用料の助成を受けることができます。
利用には、事前に申請が必要で、窓口申請、電話申請、オンライン申請ができる市町村もありますので、お住まいの市町村の申請方法をご確認ください。
産後に利用したいと思っても、申請が通るまでに時間がかかることがあり、すぐに利用できないこともあります。
申請は妊娠中からできることが多いので、産後の家族のサポートが得られない方や、妊娠中から産後の生活に不安がある方は、事前に申請しておくと良いでしょう。
- 民間の産後ケアサービス
民間の産後ケアサービスは、ホームページや電話での宿泊予約になっていますので、ご希望の施設にお問い合わせください。
産後ケアホテルなどは2~3週間の長期の宿泊を通して利用し、子育てに慣れていく方が多いようです。
まとめ
ママたちが産後ケアを利用しやすいように、少しずつ支援の幅も広がってきています。しかし、まだまだ利用しているママたちは多くありません。
産後ケアという支援があることを知らないママもいます。産後は誰でも、それぞれの悩みや不安を抱えています。
少しでも安心できる環境で産後の子育てをしていけるように、一人で頑張らず、周りのサポートをぜひ活用してみてくださいね。
また、妊娠から育児での不安やお悩みのある方は、いつでも「ファミくる」にご相談ください。
キーワード:産後ケア|宿泊型|デイサービス型|アウトリーチ型
参考文献
・産前・産後サポート事業ガイドライン 産後ケア事業ガイドライン 令和2年8月(こども家庭庁)
・新潟市ホームページ
https://www.city.niigata.lg.jp/kosodate/ninshin/nenrei/ninshinsyusan/sangokea.html
執筆者:高橋萌