【助産師解説】産前産後ママの尿漏れ問題…原因と対策は?

 

「妊娠してから尿漏れを経験するようになった」「産後も尿漏れが治りません」と産前産後の尿漏れで悩むママさんは、約3人に1人という調査結果も報告されているほど、

全く稀なことではありません。

デリケートなお悩みだからこそ、他の人になかなか相談できずお一人で悩まれてしまう方も多いのではないでしょうか。

今回は、産前産後に起こる尿漏れの原因や対策について詳しく解説していきたいと思います。

 


 

目次

産前産後の尿漏れの原因

産前産後の尿漏れ対策 骨盤底筋トレーニング

まとめ

 


産前産後の尿漏れの原因


「尿漏れ」は医学用語で「尿失禁」と呼ばれ、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう症状のことをいいます。

妊娠や出産を機に尿漏れを経験する女性は少なくありません。

出産前後で特に多く見られるのが「腹圧性尿失禁」というもので、これは笑ったり、咳やくしゃみをしたり、赤ちゃんの抱っこ、重いものを持ち上げたりする際にお腹に力が入ってしまうことで尿が漏れてしまうのです。

 

産前産後の尿漏れは、以下のようなことが原因と考えられています。

 

  • ホルモンの変化

妊娠中や出産時、骨盤内の靱帯や筋膜をゆるめる「リラキシン」というホルモンが卵巣、子宮、胎盤から分泌されています。

このホルモンの働きにより、子宮や膀胱の筋肉がゆるみやすくなっていることで尿漏れが起こりやすくなります。

 

  • 子宮の圧迫

出産が近づくにつれ子宮が大きくなり、膀胱が圧迫されます。そのため、妊娠前より尿をあまり溜めることができなくなります。

さらに、赤ちゃんの胎動等で膀胱が刺激されることで、不意に尿漏れを起こすことがあります。 

 

  • 骨盤底筋への負担

骨盤底筋とは、子宮や膀胱等の骨盤内の臓器をハンモック状に支えている筋肉です。

妊娠中は、妊娠中の体重増加や胎児の重みにより、骨盤底筋に負担がかかります。

さらに、出産時には、産道を通って赤ちゃんが出てくる際に骨盤底筋が強く伸ばされることで傷ついたり、強い負担がかかります。

このように、妊娠、出産での骨盤底筋への負担や緩みが原因で、尿道を締めきれなくなり尿もれにつながってしまいます。

特に、吸引・鉗子分娩、会陰切開をして出産された方や大きな赤ちゃんを出産した方の場合は、骨盤底筋への負担が大きくなりやすい傾向があります。

 

 


産前産後の尿もれ対策


産前産後の尿漏れは、妊娠・出産の生理的な変化によるもので、一時的なものだといわれています。

尿漏れの原因として解説した「骨盤底筋の緩み」ですが、骨盤底筋は筋肉ですので、鍛えることで尿漏れの改善が期待できます。

ご自宅でのトレーニング方法についてご紹介しますので、ぜひ生活に取り入れてみてください。

 

骨盤底筋トレーニングの方法

 

◆寝姿勢

仰向けに寝て足を少し開き膝を立てます。

 膝の間はこぶしをひとつ分くらい開け、体の力をぬきます。


肛門を閉めながら膣と尿道も10秒くらいぎゅーっと締め、その後、30秒くらいリラックスします。 

 息を吐きながら、肛門と膣を胃の方向に引き込むように締めるとやりやすいとされています。尿や便を我慢しているときのような感覚です。

 この時、お腹や足、腰などには力が入らないようにしてください。

 はじめは5秒程度しか続かないこともあるかもしれませんがだんだん力の入れどころがわかってきますので徐々に時間を伸ばしていけばOKです。

 これを10回繰り返しましょう。


次に、同じように肛門、膣、尿道を閉める動作をもっと早いテンポで行い、この「キュッ(締める)、パッ(緩める)」を1セットとして、10回繰り返します。

 慣れてきたらだんだんと回数を増やすとよいでしょう。


①~③を1日数回に分けて5セット以上行います。

 

 

◆座った姿勢

背筋を伸ばして少し浅めに座ります。


床につけた両足は肩幅に開き、肩の力をぬき、おなかに力が入らないようにしながら、締める、ゆるめるを繰り返します。(寝姿勢での方法②~③を繰り返します)

 

 

ご紹介したトレーニングは、朝起きたときや寝る前など寝たままでも出来ますし、産後直後の会陰の痛みがあるときでも横になった状態でも無理せず行うことができるトレーニングです。

椅子に座っている状態であればお仕事の休憩中やリビングでお休みの際など、いつでも行うことができます。

 

トレーニングを始めてすぐに効果が出るというものではありません。

日々の継続が尿漏れ対策の近道になります。毎日続けてもらうと2~3か月後には効果を実感できますので、根気強く続けてみてください。

 

 


まとめ


産前産後の尿漏れは、ホルモンの影響や妊娠、出産に伴う骨盤底筋のゆるみなどが原因で、たくさんのママさんが悩まれています。

産後、お身体の状態が戻るにつれて症状も改善してくることがほとんどですので、トレーニングを日常の中に取り入れながらお過ごしいただければと思います。

しかし、放置してしまうと長引いてしまう場合もありますので、2カ月以上続く、漏れる量が多い、頻度が多いなど、症状がひどい場合はかかりつけの産婦人科や泌尿器科へ相談するようにしましょう。

 

 

キーワード:尿漏れ|産前産後|骨盤底筋トレーニング


参考文献

1)日本頻尿器科学会

https://www.urol.or.jp/public/symptom/04.html

2)J-STAGE 出産後3年以内の女性の尿失禁と出産との関連性

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/32/1/32_20080916001/_pdf/-char/ja

3)東京女子医科大学付属足立医療センター骨盤底機能再建診療部

https://twmu-amc.jp/mce/prsurgery/contents/training.html


執筆者:高橋萌