【助産師解説】いよいよ陣痛の始まり。入院までどう過ごす?産院連絡のタイミングは?

 

出産予定日が近づいてくると、お産の兆候が現れ、身体の変化を感じる方も出てきます。そして、出産に向けて気持ちの変化を感じる方もいるでしょう。

いざ陣痛が始まったり、破水をしたりすると、どうしてよいかわからなくなり、急に不安が大きくなってしまうことがあります。しかし、事前に準備と心構えをしておくことで、落ち着いて対応することができます。

 

出産のはじまりというと、「破水」や「陣痛」などがありますが、今回は「陣痛」について詳しくお伝えしていきたいと思います。

 


 

目次
陣痛のはじまり
産院連絡のタイミング

待たずにすぐに連絡を!

まとめ

 


陣痛のはじまり


陣痛は、“自分の意志ではコントロールできずに、反復して起こる痛みのある子宮収縮のこと”を言います。

陣痛には必ず波があり、痛みのある「陣痛発作」と子宮収縮が休止する「陣痛間欠」を繰り返します。

痛みの開始から次の陣痛開始までの時間を「陣痛間隔、陣痛周期」と言います。この陣痛間隔は、入院のタイミングや、お産の経過を見ていくうえで大事な要素となります。

 

お産の予兆である前駆陣痛と本陣痛には、以下のような違いがあります。

 

〈前駆陣痛と本陣痛の違い〉

 

本陣痛は、10分以内の規則的な痛みで徐々に強くなっていくものです。

ポイントは「規則的な痛み」と「痛みの強さの変化」です。

定義上、「1時間に6回以上、陣痛周期が10分以内の規則的な陣痛」を陣痛開始と判断します。

そのため、陣痛を感じてもすぐに入院が必要かということは判断できず、陣痛の間隔や痛みがどのように変化していくかを見ていく必要があります。

 

 


産院連絡のタイミング


陣痛を感じ始めてから、産院へいつ電話をしたら良いか迷う方が多くいらっしゃいます。

入院まで自宅でどのように過ごし、いつ連絡をすると良いのか、目安となるタイミングを知っておきましょう。

 

 

陣痛間隔の測定

 

子宮収縮があり、生理痛や下痢のような痛みを感じたら、陣痛間隔が何分か時計を気にしながら過ごします。

痛みが不規則な場合は、前駆陣痛なのでいつも通りリラックスして過ごしてください。

前駆陣痛があるときの過ごし方については、他の記事でまとめていますのでそちらを参考にしてみてください。

 

【助産師解説】お産が近いサイン!お産の兆候とは??

 

前駆陣痛と思っていつも通り過ごしている中でも、痛みが規則的になり本陣痛へ移行していく場合もあります。

就寝中に痛みを感じて起きたときにはすでに陣痛が規則的になっていたというケースもあります。

 

陣痛が規則的になってきたら、楽な姿勢でリラックスして過ごします。痛みがあるときには、ゆっくり深呼吸をしながら過ごしてください。

赤ちゃんに酸素をたくさん届けてあげるイメージで、息を吸うことよりも吐くことに集中して呼吸をすると、深い呼吸ができます。

 

 

産院連絡の目安

 

陣痛間隔の測定を始め、「1時間に6回以上10分以内の陣痛がある」というタイミングが一般的には、産院連絡・入院の目安となります。

痛みがどんどん強くなっている場合や、陣痛間隔が急に短くなっていく場合には1時間を待たずとも連絡しても良いでしょう。

急速にお産が進んでいく方もいます。迷う時には一度、産院に相談の電話をしてみましょう。

 

また、経産婦さんは、1人目の出産時にかかった時間の約半分くらいの時間でお産が進むと言われています。

そのため、前回のお産がスピード出産だった方は、より早めの入院となることがあります。

10分以上の間隔でも、規則的に痛みがある場合や、痛みはないが規則的な強いお腹の張りがある場合にも、お産が進んでいることがあります。

 

産院によって、入院の目安が異なることがあるので、ご自身が出産する施設の基準を確認しておきましょう。

妊娠経過や出産間近の健診の状況、自宅から産院までの移動時間などによっても、産院連絡のタイミングには多少の個人差がでてきます。

ここで紹介した目安を頭に入れつつ、ご自身の入院のタイミングをかかりつけの産院に確認しておきましょう。

 

 


待たずにすぐに連絡を!


陣痛が始まると、自宅で陣痛間隔を計りながら過ごすことになりますが、すぐに連絡をしてほしい緊急の場合もあります。

 

 

破水かもと感じた時

痛みの有無にかかわらず、生温かい水が流れる感じがある、尿漏れか破水かわからない場合なども様子を見ずに、まずは産院に連絡をしましょう。

シャワーや入浴は避けて、きれいなナプキンを当てて受診してください。

 

 

持続的なお腹の痛み

痛みに波がなく、ずっとお腹が痛い、ずっと下腹部が重たい、ずっとお腹が硬い場合は、緊急の場合があるのですぐに連絡をしましょう。

赤ちゃんも苦しいサインを出している場合があります。“陣痛は波があるもの”ということを覚えておいてください。

 

 

サラサラした鮮血

粘調性のあるおしるしとは異なり、サラサラした鮮血が出る時にはすぐに連絡をしましょう。

胎盤早期剥離という、胎盤がはがれかかってしまっている状態の可能性があり、母子ともに危険な場合があります。持続的なお腹の痛みを伴うこともあります。

 

 

胎動が感じにくい

赤ちゃんは陣痛が始まっても動きがあるものです。

ママの感覚的に胎動が少ない、感じられない時には、ママが感じた違和感を大切に、産院に連絡をし赤ちゃんが元気かどうか診てもらいましょう。

 

 


まとめ


出産は、100人いれば100通りのお産があります。お産のはじまりもそれぞれですが、想定されることを少しでも知っておくことが、出産への安心感へとつながります。

 

安心して出産に臨めるように、ご主人やご家族と一緒に準備をしていってください。

 

 

キーワード:陣痛|陣痛間隔|産院|連絡|タイミング


参考文献
病気が見える vol.10産科 第4版


執筆者:高橋萌

2024.07.23