【助産師解説】突然の切迫早産入院!心の準備なしに入院!?なぜ入院が必要なの?

 

切迫早産の入院は、突然告げられることが多く、心構えができないまま入院となり戸惑うママたちも少なくありません。

 

今回は、そんなママたちがご自身の状況を改めて理解し、入院生活を乗り切るためのお手伝いができればと思い、切迫早産のことや入院中の過ごし方等についてお伝えしていきます。

 


 

目次
突然の切迫早産入院

切迫早産入院中、どんな入院生活を送る?

まとめ

 


突然の切迫早産入院


「早産」とは、妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産のことを呼びます。

早産で生まれた赤ちゃんは、生まれたときにうまく呼吸ができない、体の機能が未熟なまま生まれてしまい新生児集中治療室での治療が必要、障害が残ってしまう等の場合があります。
「切迫早産」とは、妊娠22週0日~36週6日に規則的な子宮収縮が認められ、且つ子宮頸管(子宮の出口)の開大・展退度に進行を認める場合、あるいは初診時の診察で子宮頸管の開大が2センチ以上となっているなど、早産となる危険性が高いと考えられる状態を言います。

つまり、早産の一歩手前の状態のことを言います。

できる限り早産を防ぎ、37週0日以降の正期産で出産を迎えてもらうために、切迫早産の治療が行われます。

 

切迫早産の診断や治療、入院の必要性の判断は、子宮頸管の長さや、お腹の張りや痛み、出血や破水の有無等から、医師が総合的に判断をします。

 

 

切迫早産なぜ入院が必要?自宅安静じゃだめなの?

 

切迫早産の傾向がある方や、おなかの張りを頻繁に感じている方には、子宮収縮抑制剤という張り止めのお薬が処方されることがあります。まずは内服治療で経過を見る場合も多いです。

内服治療でその後問題なく経過するケースもありますが、内服をしていても切迫早産が進行してしまうこともあります。

その場合は、内服治療だけでなく、自宅で安静に過ごすことで切迫早産の進行を防ぎます。内服治療+自宅安静でも切迫早産の進行が防げない、早産のリスクが高いと医師が判断した場合に、入院による治療が必要になります。

 

内服治療も自宅安静もないまま切迫早産が急速に進行し、早産の危険性が高い場合には、突然入院が必要になることもあります。

そのようなママにとっては、寝耳に水という事態となってしまうのです。

 

 

入院の判断基準はあるの?

 

切迫早産の診断の1つの基準となるのが、子宮頸管の開きや長さです。エコーで医師が計測します。

子宮頸管というのは、子宮の出口のことです。妊娠中は、赤ちゃんを子宮の中で育てるために、この出口がしっかりと閉じ、長さが保たれている必要があります。

しかし、切迫早産となると、赤ちゃんを支えているはずの子宮頸管が短くなってしまいます。子宮頸管は、おなかの張り(子宮収縮)により短くなるので、正期産での出産を迎えるために、お腹の張りを抑えていく必要があるのです。

 

 

 


切迫早産入院中、どんな入院生活を送る?


切迫早産の治療は、まずは「安静」です。

切迫早産の重症度によって、安静度や行動範囲は異なることがありますが、洗面、シャワー、トイレ、食事、診察以外は基本的にベッドで横になって過ごします。

 

 

入院中の生活

 

入院中の過ごし方を見ていきましょう。

感染症等の影響で、面会制限がある病院も少なくありません。個室の方は、お一人で過ごす時間が多くなりますし、逆に大部屋であれば、完全に一人になれる時間はほとんどありません。

 

 

  • 子宮収縮抑制剤の点滴

内服でお腹の張りが抑えられない場合は、子宮収縮抑制剤の点滴により治療を行っていきます。この点滴は24時間継続して行われます。

3~4日毎に刺し替えがあり、この刺し替えは痛みを伴うため、ママたちにとって負担となってしまいます。

 

 

  • 抗菌薬の使用

切迫早産の原因の一つでもある細菌による感染が疑われる場合は、抗菌薬を使用した治療を行うこともあります。

 

 

  • エコーや採血など検査

定期的に子宮頸管の長さや赤ちゃんが順調に育っているか等のエコー検査や、貧血や薬の副作用等を評価する血液検査があります。

 

 

  • NST(ノンストレステスト)

毎日、NSTという、お腹の張りと赤ちゃんの心拍を検査する機械をお腹に装着します。

検査は問題がなければ20~30分程度で終わりますが、お腹が張っているときは検査時間が長くなってしまうこともあります。

お腹の張り具合に合わせて点滴を調整する必要があるため、早産を食い止めるためにとても大事な検査です。

 

 

  • 妊婦健診

入院中も妊婦健診はあります。体重測定や尿検査、エコーで妊娠経過を見ていきます。

 

 

  • シャワーや身体拭き

お腹の張り具合をみてシャワーや身体拭きをします。シャワーは入れても週に2~3回程度の施設が多いようです。

お腹の張りが落ち着かない、出血がある時には週に1回程度や中止となってしまうこともあります。

 

 

入院中は、様々な治療や検査をしながら、赤ちゃんを大きく育て、正期産で出産するために過ごしていきます。

切迫早産の重症度や病院によってもそれぞれで異なるので、わからないことがあれば施設のスタッフさんに相談してみてください。

 

 


まとめ


ママたちにとって、まだまだ楽しもうと思っていたマタニティライフが突然入院生活に変わり、慣れない生活への戸惑いや、早産の不安、家族と離れることの寂しさなど、様々な心境になることと思います。お腹の赤ちゃんのために、治療の必要性は理解していても心がついていかないこともあるかもしれません。

 

そんな時は、病院のスタッフに今の気持ちを話してみましょう。言葉にすることで楽になることもありますし、皆さんの妊娠生活や出産をスタッフは支えたいと思っています。

切迫早産の入院を経験されたママたちがどのように入院生活を乗り越えていたのかをまとめている記事もあるので、そちらも参考にしてみてください。

 

妊娠から育児のことでお困りのことがありましたら、いつでも「ファミくる」でご相談ください!

 

 

キーワード:切迫早産|入院|入院生活|自宅安静


参考文献
・産婦人科診療ガイドライン産科編2020
・病気がみえるvol.10 産科 第4版
・公益社団法人 日本産科婦人科学会ホームページ


執筆者:高橋萌