【医師解説】妊娠中の重要警告サインを知っておこう

 

妊娠中の女性には、様々な身体の変化が伴います。

その中には母体や胎児の健康に深刻な影響を及ぼす可能性のある症状も含まれています。

妊娠中の緊急事態のサインを見逃さず、早期に適切な対処を行うことは、母体と胎児の安全を守るために非常に重要です。

今回は、妊娠中に特に注意すべき症状について詳しく解説します。

 


 

目次

妊娠中に現れる症状とは?

まとめ

 


妊娠中に現れる症状とは?


 

 

激しい腹痛や出血

腹痛や出血は、妊娠中に最も懸念される症状の一つです。

これらの症状は、いくつかの異なる医療状況を示す可能性があり、迅速な対応が求められます。

 

  • 早産の兆候

妊娠後期に腹痛が発生する場合、早産の兆候である可能性があります。

特に定期的な腹痛や子宮収縮が感じられる場合、早産のリスクが高まるため、医療機関での評価が必要です。

 

  • 切迫流産

妊娠初期に腹痛や出血が見られる場合、切迫流産の警告サインであることがあります。

この場合も、すぐに医師の診察を受けることが重要です。

 

  • 胎盤異常

胎盤が正常な位置にない(前置胎盤)場合や、胎盤が早期に剥がれる(胎盤早期剥離)場合、重大な出血を伴うことがあります。

特に胎盤早期剥離は母体と胎児の命に関わる緊急事態であり、即座の治療が必要です。

 

 

 

持続する頭痛や視覚の異常

持続する頭痛視覚の異常は、妊娠中毒症や子癇前症の可能性を示す重要な症状です。

 

  • 妊娠中毒症

この状態は、高血圧、タンパク尿、浮腫を特徴とし、母体と胎児の両方に深刻なリスクをもたらします。

特に頭痛が持続する場合や、視覚の異常(視野のぼやけ、閃光現象など)が現れた場合、子癇前症の初期症状である可能性があります。

 

  • 子癇前症

子癇前症は、妊娠中毒症の重症型であり、発作を引き起こす危険性があります。

この状態は迅速な医療介入を必要とし、場合によっては緊急分娩が必要となることもあります。

 

 

 

異常なむくみ、特に顔や手の急激な腫れ

むくみは妊娠中によく見られる症状ですが、特に顔や手の急激な腫れは子癇前症のサインである可能性があります。

顔や手のむくみが急激に悪化する場合、これは身体が正常に水分を排出できていない兆候であり、子癇前症が進行している可能性があります。

特に、むくみが突然現れる場合は、すぐに医師に相談することが必要です。

 

 

 

強い吐き気や嘔吐が続く

妊娠初期の軽い吐き気や嘔吐は一般的ですが、妊娠悪阻(つわり)が重度になり、日常生活に支障をきたすほどの強い吐き気や嘔吐が続く場合、深刻な医療状態を示すことがあります。

妊娠悪阻は、妊娠初期における重度の吐き気と嘔吐を特徴とし、脱水症状や栄養不足を引き起こすことがあります。

症状が重度である場合、入院しての点滴治療が必要となることがあります。

 

 

 

動悸や息切れの現れ、または悪化

妊娠中には血液量が増加するため、ある程度の息切れは普通ですが、急激に症状が現れる、あるいは動悸や息切れが日常生活に支障をきたすほどに悪化する場合、心臓や肺に異常が生じている可能性があります。

 

  • 貧血

妊娠中の貧血は比較的よく見られる状態ですが、貧血が進行すると、動悸や息切れの症状が顕著になることがあります。

重度の貧血は、母体の健康だけでなく、胎児の成長にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

  • 肺塞栓症

これは、血栓が肺の血管を塞ぐ非常に危険な状態であり、突然の強い息切れや胸痛、動悸を引き起こします。

妊娠中は血栓のリスクが高まるため、これらの症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。

 

 


まとめ


これらの症状が現れた場合は、迷わず医療機関への受診をお勧めします。

妊娠中には身体からの警告サインを見逃さないことが、母体と胎児の健康を守るために最も重要です。

何か異変を感じたら、すぐに専門の医療機関に相談し、適切な対応を取るようにしましょう。

 

 


執筆者:Dr.MTG

2024.08.26